「毎週月曜日は店長会議です。朝早くから集まって、終わるのはだいたいお昼を回ってから…。それから遅い昼食を済ませて、お店に戻るのは3時過ぎなんですよ。月曜日はほぼこれで終わったようなもんです。」
先日ある小売業の店長様との会話で、本部からの売上ノルマが厳しいんですというお話しから、話題は毎週の店長会議へ。7店舗あるお店の各店長が、各々の売上と今週の見込みについて報告し、現状の問題点について時間を掛けて話し合い、その割に結局最後は「とにかく売上達成!」と社長のゲキが飛んで終了…というパターンだそうです。週末の営業が終わると翌週の会議のための資料づくりに追われ、日曜日の帰宅は深夜になる…ということも珍しくないそうです。「こんなことを毎週なさっていらっしゃるんですか?」とお聞きすると、「ハイ、毎週です」と辛そうな顔をされたのでした。
これは少し極端な例かもしれませんが、定例会議の多い会社や、会議のための打合せが頻繁に行われる会社をよく目にします。ビジネスはスピードとタイミングが勝負ですから、小まめな状況把握や意見交換は非常に有効であると思いますが、その反面、会議の様子を覗いてみると、ただ社長が聞きたい項目について報告をさせているだけだとか、細かな打合せばかりの会議(幹部が集まる必要の無いもの?)だとか、また、昔から社内の決まりなのでそのルールを守るためだけの形式的なものも多く、特にワンマンな会社や、また大企業並に決まり事が多い会社によく見られる風景です。
最近は社内のコミュニケーションがうまくとれないという声もよく耳にしますので、冒頭の会社に限らず強制的に話し合いの場をつくるのも大切なことなのでしょうが、細かな数字の報告や詳しい説明、既に資料に記載のある事項の単なる読み上げ、訪問先や面談相手についての細かな情報など、一見当たり前に行われている会議の中身について、本当に何時間も費やして行わなければならないことなのか、その意味を考えた事があるのでしょうか?そもそもの会議の目的が何なのかわかっているのか疑問に感じてしまいます。何故なら、そこにいるメンバーの大半は仕方なしの表情で座っているし、当然のことながら積極的な意見も出ないし、結果、堂々巡りで結論が出ないことに慣れてしまっているように見えるからです。
営業の世界は、常に明確な目標数値とそれに対する進捗を問われますが、売上の目標数値は相手があって初めて達成できるものです。目の前の顧客が何を考え、何を求めているのか?自分達は何を求められ、それに対して何が提供できるのか?向き合うべき相手は間違いなく目の前の顧客であり、その課題解決のために限られた時間を費やしてこそ良い結果が生まれるのです。意識の矢印が内側に向いたままの空間は、何も生み出してくれません。
どれだけ話し合っても、結局最後は社長が決めてしまう…
報告や書式のルールが細かくて、そのための打合せが多い…
感謝の声や改善アイディアのノルマが厳しく、皆んなとりあえず出す…
など、会議でよく見られるこれらの間違ったやり方は社員の“やらされ感”につながり、活力を削いでしまいます。外部に対し、「きちんとやっている」とアピールできる仕組みや見栄えの良い体制をつくればつくるほど、実は社内の風通しを悪くしてしまっているのです。
経営者の皆さま。御社の会議は“儀式化”していませんか?毎月・毎週・毎日、決められた事がきちんと行われる安心感や、メンバー全員が毎回欠かさず参加することの充実感に浸っていませんか?形式的な会議は、社員を「会議報告用の活動」に追いやり、大切な顧客の声は彼等の耳に届かなくなってしまいますよ。会議の目的とは、自分の意見を持ち寄り、互いの力を認め、時にはぶつかり合い、互いが成長することなのですから。