昨年から急速に進んだ商談のオンライン化。「会いたくても会えないから仕方なく…」と言っていたのは去年までで、今年は、様々なことをオンラインで行う前提で計画を立てた会社も多いのではないでしょうか?
・オンライン商談
・オンラインイベント
・オンライン面接
・オンライン企業説明会
・オンライン研修
…など、これらは既に私たちの日常になりつつあります。強制的にシフトしたとは言え、一年も過ぎるとそれなりに慣れてきた人も多いでしょうし、それ用のサービスやツールも充実してきて、新たなビジネスにつなげる会社も増えてきています。
私が関わる仕事の中で、最も影響が大きいのが対面営業からオンラインへのシフトです。今まで対面営業しかやってこなかった人の中には何となく苦手意識を持つ人も多いようです。通常の面談のようにやろうと思っても、相手の反応や空気感がつかめないまま一方的に話をしてしまい、「何か質問は?」と聞いても、「いえ、大丈夫です」と言われてそのまま商談は終了…次のアクションも決まらないままフェイドアウトしてしまうパターンです。先日もある会社のオンライン商談に同席しましたが、やはり同じような感じでした。
そこで、オンライン商談がうまくいかない理由って何だろう…?と私なりに考えて、その理由を3つまとめてみましたので今回はそれについてお伝えしたいと思います。
<失敗その1>
自社について、又、自社のサービスや商品について簡潔に説明できない
想像してみてください。オンラインでつながった瞬間にお互いの顔がアップで見えます。普段のリアルな面談では見えないような顔のシワまで見えてしまう距離です。これだけ近くでお互いの顔を見ながら話す機会はこれまで無かったので緊張してしまうのも仕方ないですが、ここは笑顔で元気よく会話をスタートさせたいところです。
それはさておき。
まず初めにやることと言えば自社紹介と自己紹介。対面なら身振り手振りも交えながら何となくでも伝わりますが、オンラインはそうはいきません。きちんと言語化し(しかも簡潔に!)それを資料にまとめておく必要があります。例えば、金属製造業を営んでいる会社が新たに健康食品を製造販売することになったような場合、その経緯や技術の根拠を説明するために、もちろん本業の紹介も必要になりますが、ここでダラダラと製造技術の話をしても相手は退屈に感じるだけ。アップで見える顔の表情がどんどんトーンダウンしていくのが目に浮かびますよね。辛い。。
<失敗その2>
相手のニーズをうまく聴くことができない
限られた時間に一生懸命説明することに集中し過ぎてしまい、ついついしゃべり過ぎる営業マンも多いようです。「オンラインはスピードが大事」…と早口で話すことをすすめる人もいますが、相手が抱える課題や要望が分からなければ良い提案はできません。また、お互いに沈黙になってしまう「間」を怖がってずっと話し続ける人がいますが、逆効果です。すごく押し付けられている感じを与えてしまうだけでなく、少しのスキも無いことで相手が考えることを止めてしまうからです。
ニーズがうまく聴けないもう一つの理由として、相手の感情がわかりにくい(話に集中するあまり表情が固まってしまっている)というケースもあります。相手の顔は自分の鏡、もしかすると自分も同じような顔をしているのかもしれませんね。注意が必要です!
<失敗その3>
クロージングのタイミングがつかめない
「以上でご説明は全てですが、何かご質問はありませんか?」とか、「ぜひ聞いてみたい事などはございませんか?」と聞いても「いや、特に…」「いえ、大丈夫です…」という答えが返ってきたらあなたはどうしますか?
そのうちに、「いったん社内で検討しますので、またご連絡いたします」と向こうから切り出されてしまうと、「はい、よろしくお願いします」と言わざるを得ない状況になり、面談終了…となってしまいます。このような経験をお持ちの方も多いと思いますが、何とも言えない後味の悪い空気が漂いますよね。
プレゼン後の流れをしっかり決めておかないと、相手任せになってしまい、それでは大切な商談時間がムダになってしまいます。お互いの時間を有効に使うためにも対策が必要です。
いかがでしょうか?これらの問題点、実はオンラインならではのものではありません。対面営業でも必ず必要となる大切なことなのです。営業には絶対に外せない重要な工程とポイントがあります。日頃から十分にできていなかった弱い部分が明るみになった、と解釈した方が良さそうです。
これらの課題を解決する方法として、
<解決策その1>
最初に全体の流れを伝える(時間の承諾も含め)
(例)
・面談の御礼
・時間の承諾と全体の流れの説明
・自社紹介、自己紹介
・今回のご提案
・質問、他社事例紹介
・御社の課題解決について
こういった、全体の流れと時間の確認を最初にしておくことで、商談に緊張感を持たせることができます。
また、その日、参加しているメンバーが複数いる場合、誰が何の目的で参加しているのかも明確に伝えておくと良いです。オンライン商談の場合、事前に一対一でメールや電話でやり取りをして日時を設定している場合がほとんどで、当事者同士も初顔合わせな上に、よくわからない人が何人もいるというのは落ち着かないものです。商談内容に集中してもらうためにも、場の説明はしっかりとしてからスタートする必要があります。
<解決策その2>
合間に過去の事例的に補足を加える
商談中、ご質問はございませんか?と聞いても返事が返ってこないケースがほとんどではないでしょうか?質問がざっくりし過ぎていたり、自社にとっての具体的な導入イメージが思い浮かばなかったりすると、お客様も何を聞いたら良いのかわからず、疑問や質問も出てこないものです。
そんな時には、提案先の企業が抱えているだろう課題と近しい事例をあげて、「他社様ではこのような悩みをこのように解決していただきました」とか、「御社のような規模の会社に十分ご活用いただけるサービスです」といった具合に、なるべくイメージを持ってもらえるような話し方を心がけるべきです。
<解決策その3>
クロージング(次回のアクション)を明確にする
リアルな営業でも、このクロージングが苦手な営業マンは多くいます。次のアクションや日時を迫ることは、何やら押し付けているみたいで気が引ける…と感じる人もいるようですが、それは断じて違います。
いくら手軽なオンライン、無料のツールで短時間で…とはいえ、貴重な時間を使っていることはお互い様ですので、その時間を有意義なものにするための積極的なディスカッションと、次のアクションはお互いのためなのです。
今まで、営業の現場は個人任せでクローズドな場だったという会社も多いと思いますが、オンライン化はそのグレーな部分を白日の下にさらしただけなのです。「オンライン」をきっかけに出てきた、貴社がこれまでも社内に抱えていた重大な課題だったのです。
貴方の会社では「コロナ」や「オンライン」が“できない理由”になっていませんか?
「コロナが落ち着いたら頑張ります」みたいな空気が漂っていませんか?
「オンライン」はできる会社やできる人間がやる特別なものだと思っていませんか?
オンライン商談は、これまでの非効率な営業方法を見直すチャンスです。
ぜひ積極的に取り組んでいきましょう。
やり方がわからない…という経営者の皆様、お気軽にご相談ください。
貴社の営業ツールを見直して、オンライン商談に同席いたします。