2020年も残りあと2日。
今年はコロナに振り回された一年になりました。
弊社も当初は大きな影響を受けました。
それまで、既存のお客様を中心とした「訪問型」のコンサルティングや企業研修をメインの仕事としていましたし、新規開拓はもっぱらリアルセミナーにお越しいただくか、イベントなどに出向いて行くか、の「対面型」営業を得意としていましたので、動けない、会えない、集まれない…という環境は正に活動停止=(イコール)売上ゼロを意味します。実際に、ほとんど売上の無い月もありましたが、そのおかげで得るものもありました。それは、じっくりと考える時間です。
多くの仕事がキャンセルや延期になると、自ずと時間が増えます。
それまで、毎日ただがむしゃらに走り続けていた暴走列車が急に緩やかな運転になると、今までは見えなかったものが見えてくるし、会えなかった人に会うこともできました。
この時に、これから先の不安に囚われることなく、「今のやり方・在り方を大きく方向転換しよう!」と思えたのは私自身とてもラッキーでした。結果、新しいことに挑戦する年になり、来年につながる成果と基盤づくりができた一年となったからです。
とは言え、新たなことにはリスクがつきもの。やってみないと分からない上に、頑張ったからといって必ず成果が出るものでもありません。おまけに売上は急には増えないので、中長期的な感覚も重要になってきます。
ただ、確実に言えることは、今回の出来事をきっかけに大きく変わってしまったルールや価値観は二度と元には戻らないだろうということです。これまで以上に変化対応型の企業体質が求められる世の中がやって来ます。そこで今回のコラムは、今年挑戦した新たなことを振り返るための大切なポイントについて考えてみました。
企業が挑戦するべき新たなことの代表例として、「新規事業への挑戦」と「新規顧客開拓」があります。今年は、経営環境が大きく変化したために、否応なくこの二つを迫られた会社も多いのではないでしょうか?特に、多くの企業が取り組んだであろう「テイクアウト」と「オンライン」の2つの視点で見ていきたいと思います。
私の知り合いの企業でも新たなことに挑戦したところはたくさんあります。その一つがテイクアウト。外出自粛で大きな影響を受けた代表業種ともいえる飲食業では、生き残りをかけてテイクアウトやデリバリーを始めるところも多かったようです。これは、店舗で提供していたメニューを単に容器に入れるだけ…と素人的には考えがちですが、冷めても美味しいとか、衛生面でのリスク回避など考えるべきポイントはたくさんあるそうで、同じ“料理を提供する”業種の中でも新規事業への参入に近い感覚で挑戦する必要があるそうです。
お店の看板メニューがそのまま“売れる”お弁当にはならないからです。
例えば、既存の店舗ではお客様の目の前で焼くのがウリの鉄板焼き屋さんのメニューをそのまま容器に詰めても家に帰った頃には冷めてしまっています。いつも楽しみにしているシェフの明るいパフォーマンスも無しとなれば、商品の価値はガクンと落ちてしまいます。
一方で、本当にテイクアウトを必要とする顧客は?と言えば、例えば共働きで忙しい主婦が仕事帰りに買って帰りたいメニューとした場合、家で簡単に温めができて、且つ、ご主人や子ども達が喜んで食べてくれるお料理、となるでしょう。
この時に大切になるのは、元々のお店の看板メニューが愛されていることです。「あの美味しい鉄板焼き屋さんの〇〇弁当だよ」となれば、食べる側の満足度も大きく違ってきます。同時に、小さな子どもさん連れではなかなか行けなかった鉄板焼き屋さんのメニューが、自宅なら手軽に食べられるという新たな顧客の取り込みにつながる可能性を持っています。
このように考えると、店舗で鉄板焼きを提供していたお店がテイクアウトのメニューを考えるということは、新規事業参入と新規顧客開拓の二つの面を持っていることがわかります。そのハードルは思った以上に高く、成功しているのがほんの一部だということも十分に頷けますね。
私は店舗経営は専門ではありませんが、“営業活動”という視点で見た場合に、
・商品の特徴を打ち出して魅せ方を工夫する
(他社・他店との違いを分かりやすくする)
・ターゲット層を明確にする
(どういうお客様向けで、どういうニーズを持っているか)
・既存事業の強み(顧客・実績・ノウハウ等)が活かせる分野に参入する
ことが望ましいことは明らかですね。
そしてもう一つ、「オンライン」も私たちの日常にすっかり定着しました。
これまで対面型が主流だった営業や製造の現場でもどんどんオンライン化が進んでいます。弊社でも必要に迫られてオンラインで対応する中で、完全オンラインによるコンサルティングをスタートすることができました。
このオンライン、当初は打合せやセミナーで活用し始めた人が多かったと思いますが、営業活動そのものをオンラインにシフトすることに抵抗を感じる人は少なくありませんでした。実際、私の周りにも「直接会わなきゃ伝わらない派」が多数いて、オンラインにシフトするのに時間がかかった人も多くいました。
特に、雑談や身振り手振りを交えた営業トークでコミュニケーションをとるのが得意な営業マンや、PC操作に苦手意識を持つ営業マンなどは相当に抵抗があったようです。今後は大手を中心にテレワークを継続する企業も多いと言われている中で、このオンライン化は会社の生き残りに必須だと言えるでしょう。
今後、オンライン化に対応した営業活動を進めていくために必要なポイントとして、
・オンラインでのプレゼンスキルの向上
・SNSを活用した自社PRやファンづくり
・コラムやメルマガなど自社メディアを持つこと
などがあげられます。
これまであまり重要視されてこなかった部分ですが、今後は大切な営業スキルの一つになります。雑談の機会が少ないオンライン商談では端的に会社や商品の魅力を伝える必要がありますし、SNSや自社メディアでも「会社らしさ」「商品らしさ」といったブランド価値が問われます。
無料でたくさんの人が使えるツールだからこそ、そこに魂が込められていないとその魅力はたった一人にさえ伝えることができないという厳しい世界です。しかし、これらがうまく回り出すと、移動をしないで商談することが可能になり、見込み客のエリアを一気に広げることができます。
小規模な会社でも世界を相手に仕事をすることが益々可能になるのです。
新規事業への参入と新規顧客開拓は会社を永続させるために大切だと言い続けられてきたことですが、今年はその背中を思い切り押してもらえる一年になったと感じています。皆様の会社はいかがでしょうか?
自社の強みやその活かし方に悩んでいる経営者の皆様。
また、自社の営業体制がなかなかオンラインにシフトできないとお悩みの経営者の皆様。
このお正月休みの間に、じっくりと考えてみられてはいかがでしょうか?
もしもご自身で解決できない場合は遠慮なくご相談ください。お力になります!
今年も「脱!お願い営業への道」を最後までお読みくださいまして誠にありがとうございました。2021年が皆様にとって幸多き一年となります事をお祈り申し上げます。
どうぞ良いお年をお迎えください。