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第291話 右腕が育たないと悩む社長が考えるべき3つのポイント

 

「なかなか部下が育たなくて…いつまで経っても私が指示しないと社員が動かないんだ」そうおっしゃる社長は少なくありません。どこの会社も人手不足は大きな悩みの一つでしょうし、限られた人材の中から自分の右腕を育てることは楽なことではないでしょう。しかし、限られた人材だからこそ一人一人の社員の能力を引き出し、育てていくことは重要です。目の前の課題を精神論で何とかしようとしているだけでは社員が疲弊してしまうからです。

 

そこで今回のコラムは、右腕が育たないと悩む社長が見落としがちな3つのポイントについて考えてみたいと思います。

 

1.役割分担ができていない、責任の範囲もあいまい…

 

世間には、社長を筆頭に多くの社員が遅くまで忙しく仕事をしている会社が多くあります。つい先日も、ベトナム人の採用をご支援している会社でこんなことがありました。

 

「人手不足解消、技術継承のために一刻も早く人を採用したいと考えているが、自分(社長)が忙しいので書類が準備できず一歩も前に進まないうちに半年が過ぎてしまった…。」

 

この会社は業界でもずば抜けた素晴らしい技術をお持ちで、忙しいのは大変けっこうなことなのですが、様々なことがこうした積み重ねの先にあると考えた時、少し首をかしげたくなってしまうのも事実です。

 

立ち上げて間もない会社のように人やお金が限られているような時であれば「気合と根性」でとにかく頑張らなければならない時期もあるでしょうが、これを過ぎても尚、頑張れ!頑張れ!で何とかしようとする風土がある会社は社員が疲弊してしまいます。確かに、今の厳しい競争社会を勝ち抜くためには気合と根性で頑張る精神力は大切ですが、社長一人が頑張って…というスタイルには限界があります。「自分が頑張ればうまくいく」「うまくいかないのは自分の頑張りが足りないせいだ」とおっしゃる社長も少なくありませんが、それを続けていてはいつまで経っても社員が育ちません。

 

社長が一人で仕事を抱え込んでしまうのは、役割分担ができていない証拠です。

 

弊社のように、会社といっても実質的には私が一人でやっている場合は全ての業務を背負って頑張るしかありませんが、一人でも社員がいれば話は別です。組織として考える必要が出てくるからです。社長が自分一人で全てできるかもしれませんが、自分の代わりにできる人を育てていくことが組織づくりなのです。

 

成長している会社は、まだ社員が1人や2人の時からでもちゃんと役割分担ができていて社長がいなくても会社が回る状態がつくられているように感じますが、そうでない会社は、社長と特定の人にだけ仕事が集中しているケースが多々見られます。

 

人を育てる、人が育つ組織をつくるための第一歩は、「役割分担」。まずは社長の仕事を手放して、徐々に責任ある仕事をやってもらえる組織づくりです。

 

 

2.“超”トップダウン型の組織構造

 

多くの中小企業はトップダウン型の判断・決断で会社を運営していると思いますが、たまに出てくるのがボトムアップ型にすべきかどうか?という議論です。現場の意見を吸い上げようと、若手社員たちとの会議を設ける会社も多く、私も仕事柄そこに同席する機会があるのですが、正直、「社長のお説教」で終わってしまうケースも少なくありません。若手社員に発言を促しても、社長の顔色をうかがって当たり障りない意見しか出てこず、「もっと自分なりの考えを言いなさい」とお説教になってしまうようなパターンです。若手社員の多くは社長に意見を言える者はおらず、これでは時間の無駄遣いと言われても仕方がありません。

 

では、やはりトップダウン型なのか?といった場合、その質が問題になってきます。

 

重要な事柄は速やかに社長が判断し、社内に浸透させていく必要がありますのでそのスピード感を考えればやはりトップダウン型が望ましいのですが、だからと言って周囲の意見に耳を貸さない、いわゆる“ワンマン社長”では困ります。

 

どんなに優れた経営者であっても判断ミスはありますし、社長が全ての情報を理解して常に最適な判断が下せるわけではありません。

 

出したばかりの方針をすぐに訂正したり、取り掛かったばかりの新事業を中断する判断を下したり…経営者の仕事は常に判断の連続なのですが、その時に重要なことは「社内から正しい情報が得られる」ことです。そのためには、まずは社長が「社員の声を聴く」耳を持つことです。

 

自分からの一方通行な指示命令だけでなく、その判断が正しいかどうかの的確な材料を素早く集めるためには、常に双方向のコミュニケーションを意識する必要があります。日頃のそういったやり取りの中から、自分の右腕に相応しい人材を発掘し、育てていくことが望ましいのではないでしょうか。

 

 

3.社長の考えを言語化できていない

 

中小企業の社長は、毎日忙しく走り回っている方が多い(特に社長がトップセールスマンとして一番仕事を取って来るというケースも少なくない)と思いますが、忙しさに任せて社長の想いや考えが他の社員に伝わっていないということも少なくありません。

 

社長本人は「会社のため、社員のために忙しく頑張っている」と思っているかもしれませんが、仕事の多くが社長に属人化してしまい、社長だけが必要以上に忙しくなってしまうのです。結果、会社として一番大切な「何のためにこの会社があるのか」という存在意義や、「この先、この会社はどうなるのか?いったいどこへ向かっているのか?」を理解する者が社長以外におらず、それは社員の士気低下や離職を招いてしまうのです。

 

仕事を取って来ること、顧客を開拓することが社長の大切な仕事の一つであることは間違いありませんが、その組織のトップとして方向性を示すことを忘れてはなりません。

 

会社組織とは、個人が達成できない、より大きな仕事(成果)を成し遂げ、社会に貢献する「使命達成集団」である…と私は考えます。

 

社長は、自分の考えや想いを社員に伝える必要がありますし、そのために、まずは言語化していく必要があります。「皆のために忙しく働いているんだ」と、どれだけ頑張っていても、可視化されていなければそれは絶対に伝わりません。

 

まずは社長の想いを言葉にし、それを社内に伝えることから始めませんか?あなたの右腕はそういった環境を整えて初めて育っていくものなのです。

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