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「お客様は神様?」営業現場でお客様と対等な関係を構築するために

 

「お客様は神様です」という言葉が流行ったのはもうすいぶん昔のこと。歌手の三波春夫さんが、お客様を神様とみて、あたかも神前で祈るときのように雑念を払って澄み切った心で歌う…という心情を表した言葉だったそうですが、「お客様は神様」という言葉だけがひとり歩きをして、いつしか「こっちはお金を払う客=神なんだからもっと丁寧に扱いなさいよ」という風になって、クレームをつける時の恰好の言い分になったのだと何かの本で読んだことがあります。

 

確かにお客様は大切な存在ですが、神様ではありません。特に直接お客様に接する店員や営業マンなどはここをしっかりと理解していなければ、知らず知らずのうちに不利な関係性になってしまっていることがあります。それは、会社の利益にも関わることですし、社員のモチベーションにも大きく関わってくることなので、今回のコラムではこれをテーマにお伝えしたいと思います。

 

 

 

■「お客様は神様」とは、どのような光景なのか?

 

まず、「お客様は神様」という言葉が使われる場面を想像してみましょう。

私の経験では、契約が欲しい営業マンと、契約をするかしないかを選べるお客様では断然お客様の立場が優位にありました。

 

「保険なんてどこも内容は大きく変わらないでしょう。うちは長年付き合いのある保険屋さんがいるからね…。新しいところに切り替える考えは無いよ。あ、そうそう。今度うちのイベントがあるからお客さん連れて来てよ。最近集客に困っててね。協力してくれるんだったら考えてみてあげても良いよ…おたくの保険」みたいな感じです。

 

私はこのような提案に応じた経験はありませんが、世の営業マンの中にはお客様の無理難題に振り回されている人も少なからずいるようです。特に経験の浅い営業マンは「お客様のリクエストに応えること」がイコール喜んでもらえることと思いがちで、ついつい言いなりになってしまうこともあるようです。皆様の社員は大丈夫ですか?お客様の言いなりになっていないでしょうか?このようなことを防ぐためには、営業マンがなぜそのような思考回路に陥ってしまうのか?その理由と、そうならないための対策について経営者の皆様が理解しておく必要があります。

 

■「お客様は神様」思考に陥る営業マンの心理

 

・少々無理な要求であっても、応えなければお客様が機嫌を損ねてしまうのではないか

・今お客様の言うことを聞いておかないと、目の前の契約がもらえなくなるんじゃないか

・“ふつう”お客様の立場の方が強くて、自分たちの立場は弱いもんだよな

 

これまでの経験や上司・先輩の態度などから、このように思い込んでいる営業社員も少なくありません。実際に私が知っている会社の営業部では、課長がいつもお客様の言いなりになってしまっているため、不満を持ちながら部下たちも同じような対応をしてしまっています。休日も夜間も関係なく電話がかかってきて困っているようですが、今さら断るわけにもいかず、どうして良いのか分からない…という感じです。

 

また、法人営業の場合、相手が経営者である場合が多く、営業マンの方が遠慮してしまって思うことが言い出せないでいるケースもあります。20代や30代の若い営業マンが年配の経営者を相手にモノを申すことはかなり勇気がいることだからです。お互いにとって良くないことだと思いながらも、ずるずるとその関係性を続けてしまうことになります。

 

 

■経営者が考えるべき対策

 

それでは、大切な自社の営業マンがお客様の言いなりになることなく、良い関係性を構築するために経営者が考えるべき対策とはどのようなことでしょうか?大事なことを2つお伝えします。

 

1.契約は会社と会社が結ぶものであることをしっかりと理解させる

営業マンは個人のノルマを抱えてその目標達成に向けて日々営業活動を行っていますが、「契約」は営業マンが個人的に行なうものではないことをしっかりと理解させる必要があります。仮に契約書に印鑑をもらって帰るのは営業マンだったとしても、お金のやり取りや商品の納入、販売後のメンテナンスや万一トラブルがあった時の対応など、全てお互いの会社を通してやることになります。法人営業の場合は、先方も担当者レベルで全てが決まるわけではなく、あくまでも会社と会社の契約であり、個人的なわがままやお願いに応じる必要はないということを教えることが大切です。そうならないためにも、日々の営業活動の報告をきちんと聞き、先方から何か言われて困っていることはないか?確認する必要があります。その上で、先方が提示してくる条件は「会社として」出してきているものなのか?はっきりと確認する必要があります。営業マンの手に負えない場合は、上司が同行し、会社対会社としての正式な提案スタイルに早く軌道修正する必要があります。

 

2.「契約することの目的」を認識させる

月末近くになると、目標を達成できていない営業マンにとっては何でも良いから1件でも契約を…と考えてしまいがちですが、本来の契約の目的を忘れないようにしなければなりません。元々、営業マンの役割は「お客様の課題解決に貢献すること」です。お客様が抱える課題をしっかりと聴き出し、それを解決するための最善の提案をし、契約を促す…これが営業の仕事です。そこに余分な条件やお願いごとが入ってくること自体がおかしな話です。

しかし、お客様(…に限らず多くの人)は、本当に相手のことをよく見ています。同じ人でも、自信が無さそうな人を見ると強気な態度をとってくるし、反対に自信に満ち溢れた人を見れば手放しに信用してきます。おもしろいですよね。経験の浅い社員ほどお客様と対等な関係を築きにくいのも無理はありません。今一度、営業の役割をしっかりと認識させ、商品知識とそれがもたらすメリットを理解させ、相手に伝わる提案ができるよう教育してあげましょう。一人前になるまでは適宜同行やフォローをしてあげる必要があります。

 

 

いかがでしょうか。

営業マンが陥りやすいお客様との関係性。貴社でも経験がありませんか?

顧客との良好な関係構築はお互いのために重要なことです。商品が何であるかにかかわらず…です。そのためには、自社の商品に絶対の自信を持つ必要があります。「値段」や「その他の条件」ではなく、商品そのものに。

 

貴社の営業社員は商品に絶対の自信を持っていますか?

お客様の言いなりになることなく、堂々と提案できていますか?

お客様から「ありがとう」と言われる関係性が構築できていますか?

 

お客様は神様ではありません。まるで神様の前にいるかのような澄み切った心でお客様の課題に真摯に向き合い、一緒に解決するのが営業マンの仕事なのだ…と、ぜひ教えてあげてください。応援しています!

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