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「売上増は七難隠す」…見えない部分にこそ問題の根源が?

 

「売上増は七難隠す」…売上が上がっている時には、失敗の要因があったとしても全て水面下に隠れてしまうという意味でよく使われる言葉です。確かに売上が伸びている時は、経営者のやり方や考え方・方針など全てが正解に思えてくるし、誰も意見をすることなく無条件に受け入れてしまいがちです。このような時に現状を疑い意見をする勇気のある社員はなかなかいないでしょう。しかし、やり方や考え方の方向性の違いや時代の流れとのズレは、水面下で確実に大きくなり、破裂する機会をずっと窺っているのです。

 

今回のコロナ禍をきっかけに、順調だった売上が伸び悩んだり、長く安定していた仕事がゼロになったり、このやり方は間違い無い!と自信を持っていたやり方が全否定される結果になったり…と、社内で抱える様々な問題が一気に表面化してしまった会社も少なくないのではないでしょうか。今後、時代は益々変化し、私たちが知っている「元の世界」に戻ることは無いでしょう。今こそ目の前の変化に真摯に向き合い、柔軟に体制を整えていく必要があります。特に、順調な時期が長く続いていた会社ほど注意が必要です。

 

一般的に、「過去に成功体験を持つ企業ほど頭の切り替えが難しい」と言われます。これまでのやり方に絶対の自信を持つ経営者と、新たなことに挑戦するリスクを避けるイエスマンが多い社員で構成される企業といったイメージでしょうか。過去の成功度合いが高い経営者ほど既存のやり方・考え方から抜け出すのは難しくなります。「これまでこうだったから、今後も…」という固定的な思考回路がじゃまをするからです。

 

また、この傾向は経営者ばかりでなく、製造や営業などの現場でも見受けられます。生産効率が上がっている時、営業成績が順調に伸びている時は、そのやり方を皆がお手本にする分でも、誰もNoとは言わないものです。一方的な仕事の指示や強引な営業方法など、多少気になる部分や疑問に感じる部分があったとしても、効率が上がった、成績が伸びたという「結果」に全てが飲み込まれてしまうのです。同時に、その結果を導き出した人物に絶大な信用が生まれ、上からのNoも出しにくい環境が生まれます。

 

このように、結果に満足し、そこに執着し過ぎると、それまでの経緯を見落としてしまい、ブラックボックスを生み出してしまうのです。いかに良い結果が出ているときであっても、客観的に物事を捉えて冷静に判断ができる感覚は常に養っておく必要があります。

 

■成功体験依存型経営がもたらすもの

事業を立ち上げたばかりの時や上手く回っていない時には、一つ一つのやり方や内容にこだわり、P(計画)→D(実行)→C(検証)→A(改善)が回りやすいのですが、ある程度売上が上がる仕組みが出来てくると、それをベースにしてもっと向上させようという方向に意識が向いてしまうものです。仮に自社分析や顧客分析の機会があったとしても、結果が出ている部分は「問題ない」とみなしてしまいがちです。根本的な営業戦略に加え、長年、安定的な取引がある顧客や、ロングランのヒット商品、熟練の技術者、成果を出している営業手法や営業ツールなども、「問題ない」ボックスに収納されてしまいます。その結果、自社の強みや社内資産だと安心していた部分が、いつの間にか脅威になっていることに気づかず、Xデーを迎える…と言うことも珍しいことではありません。

 

■だからこそ「現状を疑い」、「自分の意見を持つ社員育成」を

このように成功体験依存型の企業は、経営体質が固定化しがちです。過去の成功体験は、「方法は成功者(経営者)が考え、社員はそれに従う」という図式を生みます。それが長く続くほど企業のリスクは高まります。経営者がやるべきは、自分自身も生身の人間であり、完璧ではないと自覚すること、そして、常に周囲の意見に耳を傾け、反省すべきは素直に反省すること。

 

また、社員がやるべきは、毎日の仕事の中に自分のやりがいを見つけ、社員としてのプライドを持ち、自分なりの考えを持って、「モノ申す社員」になることです。

 

経営者は絶対ではありません。判断を間違うこともあれば、方向を見失うこともあるかもしれません。そんな時、貴方の一番の味方になってくれるのは自社をこよなく愛してくれる社員です。社内にいて、顧客と直接接している彼等だからこその意見や考えを持っているはずです。

 

■社員の能力も会社の価値も見えているのはほんの一部分

お客様は、当然貴社の全てを理解しているわけではありません。不満やクレームがあった場合にも、勘違いや思い違い、価値観の違いからくるものもあるので、しっかりと説明をして納得してもらうことが理想です。

 

これは、見方を変えると貴社の魅力や社員の能力も全て伝わっているわけではないと言えるでしょう。100年続く会社も、今見えている姿は100年間の歩みの「結果」です。入社後30年のベテラン社員も、今の姿は30年間の試行錯誤の「結果」なのです。何度とない失敗や努力の繰り返し、一人一人のひと手間ひと手間が集結して形になったものが現在の会社であり、商品なのです。お客様にその価値を伝えるためには、歩みの過程や経営者の想い、未来に向けたビジョンを言語化し、伝える努力は不可欠です。

 

事業経営は山あり谷あり。

一時的に助けてくれるのは国の施策や金融機関かもしれませんが、本当に貴方を助けてくれるのは間違いなく社員です。

Xデーが来るその前に、貴方にモノ申してくれる社員育成の体制づくりを考えませんか?

危機的な状況だからこそピンチをチャンスにと考える経営者の皆様、ぜひご相談ください。

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