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「忙しい人」が評価される会社の特徴

 

独立して事業を行うようになってから一番大きく変わったことは、「いつ働いて」「いつ休むか」を全て自分で決められるようになったことです。その分、報酬が確約される安心感や、誰かが代わりにやってくれるような組織が無くなったので、良いこともそうでないことも毎日が自己責任の連続ではありますが…。こうなってみると、一番大切なのは「健康」だな~としみじみ感じたりしているところです。体だけではなく心の健康も含めて、です。そのために、できるだけ効率的な仕事のやり方や時間の使い方を考えることも大切なテーマの一つです。忙しいことが良いことだ、と思っていたこれまでの考え方を改める良い機会なのかもしれません。

 

ただ、実際の営業現場では、まだまだ忙しいことが良しとされる風潮があるように感じます。会社は「早く帰るように!」と推奨していても、現場は帰れない状態(もしくは帰りずらい空気)で何となくみんな遅くまで頑張ってしまう…とか、そもそも会社全体が、「遅くまで頑張る人」「忙しくしている人」をやる気がある人と評価する雰囲気がある…そんな課題をお持ちではないでしょうか?

 

そこで今週のコラムは、「忙しい人」が評価される会社の特徴というテーマで書いてみたいと思います。来年こそは社内の空気を変えたい!とお考えの経営者の皆様、ぜひ最後までお読みください。

 

私自身、今となってはひと昔前の話のような気がしますが、営業マンの頃にはとにかく忙しいことが誇らしく思えた時代がありました。営業マン同士、同じ会社の仲間であっても、同時にライバルでもありました。業績の良い営業マンは、常にアポイントがパンパンに入っていて、ほとんど会社にいません。また、お客様から電話が掛かればすぐに飛んで行って対応する…ということもしばしばですから、ゆっくりランチをしたりお茶を飲んだりするヒマも無いのです。

 

「今日もまた昼飯ぬきだったよ~」

 

という彼らの言葉は、愚痴のような自慢のような話として耳に入って来ました。

 

忙しい営業マンには、他にも「遅くまで残業していた」という残業自慢や、「昨日は遅かったから寝てないんだよね」という寝てない自慢、また、土日返上で仕事をしていた「休んでない」自慢など、色々な自慢があります。私も、いつの頃からか仕事がたくさん入ってスケジュールがいっぱいになること(手帳がぎっしり埋まること)がデキる営業マンの証のように思えてきて、寝る間も惜しんで仕事をしていた時期もありました。

 

しかし、常に順調にスケジュールがこなせる時ばかりではありません。体調が思わしくない、急な用事が入る、お客様から呼び出しの電話が来る、家の事情・子どもの事情で…など、どうしても予定を変更しなければならないことが発生するたびにスケジュールの変更をお願いしたり家族に無理を言ったりして何とかしのいでいたものです。

 

ある時、「吉澤さんはいつも忙しそうですね。ちょっとご相談したいことがあるんですが、いつなら良いですか?」とお客様から言われたことがあり、その時にハッと気づいたのですが、どうやら私の顔には「忙しい」と書いてあったようです(笑)。話しかけにくい、相談しにくい、相手を遠慮させてしまうような“話しかけないでオーラ”が無意識のうちに漂っていたのです。

 

それからというもの、スケジュールは少し余裕を持って組むようにし、その代わり、効率的に動けるよう仕事の整理や役割分担をすすめることにしました。元々、一社一社のお客様との面談時間をしっかりと取るスタイルでしたので、一日の商談件数は多くて3件に限定。その分、事前の準備や次のアクションに時間を使うことにしました。その後、営業社員研修や営業同行などをさせてもらうようになると、やはり業績を上げている社員の多くは、予定を詰め込み過ぎず、かなりの余力を残して仕事をしていることに気づき、その大切さを改めて感じたのです。

 

では、忙しいことが良しとされたり、忙しい人が評価されてしまったりする環境はどのようにして生まれるのでしょうか?

 

まず一つは、「手段が目的化してしまっている」ことが挙げられます。

 

1日30件訪問!とか、1日50件テレアポ!など、目標を数値化して明確にすることはとても大切ですが、いつの間にかそれをこなすことが目的となってしまっているケースです。私も新人の頃は飛び込み訪問件数を目標に掲げていましたので、毎月新規で200~300件訪問していたのですが、その数ばかりに気を取られていると、成果が出ていなくても何となくやっているように感じてしまい、「このリストに訪問するように言ったのは上司だしな、まあ、言われる通り訪問しておけば良いか…」という気持ちにならなくもないのです。訪問やテレアポはあくまでも契約に至るまでの手段、そのプロセスをきちんと精査し、レベルが上がる指導をしていく必要があるのです。

 

そしてもう一つは、「プロセスを評価できる土壌がない」ことです。

訪問件数、アポ取件数、見積り提案件数などの目標数字を下回ってしまうと、きちんと評価してもらえない…というケースです。どんなに件数が少なくても契約が取れている社員は評価され、契約が取れない社員は訪問件数でしか見てもらえないという会社は意外に多いものです。ある会社には、「この訪問数じゃ契約は取れないわな~」と露骨に言うマネージャーもいました。プロセスをきちんと評価できる(その価値をしっかりと理解できている)指導者の育成や組織風土の構築が求められます。「自分はできるけど指導はちょっと…」という上司ほど、数値だけを見て評価してしまいがちなのです。

 

2021年もあと10日ほどでおしまいですね。

来年こそは本当の意味で効率的な経営を目指される経営者の皆様、“安くても良いから”“早く”“多くの”見込みを見つける、とりあえず売上になるものを探す、という思考で営業をやってしまっている…という営業部隊は基本的なやり方を修正されることをおすすめします。

お客様は、「数だけこなす…」営業マンの姿勢にとても敏感なものですから。

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