応援コラム

「脱・下請け」と「脱・お願い」の違い

「日本企業の90%は下請け会社だと言われていますよね。うちの会社もそうなのですが、下請けには下請けの良いところがあるんですよ」

 

先日ご相談にいらっしゃった社長様はこう切り出されました。

 

「下請けはハッキリ言ってラクなんです。新規開拓の営業をしなくてもいいし、多額の経費をかけて宣伝もしなくていい。言われた仕事をきちんとこなして、例え怒られたとしてもちょっとガマンをすればいいんですから。自社製品や新規事業の開発なんて、痛みや困難が伴う大変なことに挑戦しなくても何とか生きていけるんです。周りの社長達もみんなそれを知っていて、脱下請けなんて本気で考えているやつなんていやしないんです。」と。

 

私が目をまるくして聞いていると、その社長様はこう続けたのでした。

 

「でもね、最近歳をとったせいかガマンというのができなくなってきましてね。ひと回り以上も年下の元請の社長や私の息子みたいな副社長達の、人を完全に見下したものの言い様にガマンができなくてとってもみじめな気持ちになるんです。下請けから脱却したいというよりも、彼らに寄り掛からない、お願いしない経営はできないものかと思ってご相談にきました。」ということでした。

ポツポツとしぼり出すようなその言葉には、長年の苦労が滲んでいて、思わず言葉を失いましたが、何とかこの社長様の力になりたい!と強く感じました。

 

この社長様の会社では、以前に世界でも有数の携帯電話部品メーカーの下請けをしていた経験があり、「この会社は絶対に潰れない」と思えるほどの企業規模とその将来性にすっかり安心しきっていたそうですが、ある時突然「携帯事業部を中国の会社に売却する」と連絡が入り、その途端に売上の3分の1が吹っ飛んだという経験もあるそうですが、その時も本気で下請け稼業をやめようとは思わなかったとか。「何とかなるさ」と思っていたそうです。

 

それでは今回、真剣に企業体質を変えたい!と思われたきっかけは何だったのでしょうか。

 

それは、実は先ほどの“ガマンができない”という言葉に表される「経営者のモチベーションの根幹」の部分で、これまで懸命に辛抱して会社を大きくしてきたのに、経営者としての人生もあと数年となった今、心にあるのは達成感や満足感ではなく、“みじめな気持ち”だと気付いてしまったこと。だから下請けから脱却したいというよりも、お願いしたくないということなのだと思います。

 

こんな経営者の皆さんには、一度会社や自分のブランディングについて考えてみることをお勧めしています。ここだけは負けない!これだけは自信がある!そういう会社や社長様自身の強い部分を掘り起こしてみるのです。そしてそれを形にして名前をつける・・・そんな事で?と思われるかもしれませんが、驚くほどにお願いしない体質になれるんですよ。

 

なぜなら、中小企業は社長がトップ営業マンであり、皆さんの良いところがイコール会社の強みであり、顧客はそれを信頼して取引をしてきたからです。商品ではなく“それ”を売りにするべきだと私は考えています。

 

最近ちょっとガマンができなくなってきたかも・・・と感じたら、一度考えてみてはいかがでしょうか。

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