応援コラム

あなたの部下は本当に「やらされ感」を感じているのか?

 

社内の営業体制を整えようとした時、多くの会社がほとんどセットで抱えている問題の一つに人材育成があります。営業戦略や具体的な計画を立て、素晴らしいシステムやツールを導入しても、それを動かす「人」がね…と悩む会社が少なくないのです。確かに、最終的に動くのは私たち「人」であり、お客様も当然「人」ですから、そこがスムーズにいけばもっとうまく行くのに、と思ってしまうのも無理はありません。

 

だからこそ、「お客様の立場に立って考える」「お客様の満足度を向上させる」「お客様が抱える問題点をしっかりヒアリングする」など、顧客視点で業務を行うように日々ご指導なさっている事と思います。そして、そのような熱心な指導をされている社長や幹部の方ほど、

 

「部下がやらされ感を感じていてはダメだよね…」

 

といった考えをお持ちのようです。

 

熱心な上司は、もともと仕事への情熱が強く、いわゆるモチベーションが高い人が多い印象がありますが、彼らからすれば、反応がない、意見を言わない、質問もしてこない…そんな部下を見ると、ついつい「やる気があるのか?」と思ってしまうようです。指示を出しても素直に返事をしない、何度も言わないとやって来ない、わからないなら質問くらいしてくれば良いのに…といった具合に。

 

更に、あまり乗り気ではない表情で仕事をしている彼らの顔をみると、ついつい、「仕方なく仕事をしていて面白いのか?やらされるのではなく、自分から動いたらどうだ」と思ってしまったり、熱心な上司だからこそ、部下に対して「やらされ感」で仕事をして欲しくない…もっと当事者意識を持って欲しい…と思ったり、そんなところかもしれません。

 

ただ、この「やらされ感」。様々な会社でよく耳にする言葉ですが、大抵これを口にするのは社長や幹部など、上の立場の人です。私は仕事柄、必要に応じて社員さんたちと個別面談なども行いますが、彼らの口から出てくることは少なく、むしろ部下からは、上司に対して「適切な指導をして欲しい」「指示は明確に出して欲しい」といった意見が出てくることも珍しくありません。

 

この両者の間には、何か大切なすれ違いのようなものをいつも感じています。オンラインでの仕事が増えたり、業務の効率化を求められたりする毎日の中で、ひそかにこのすれ違いに悩む方もいらっしゃるかもしれませんので、今週のコラムはそれについて書いてみたいと思います。

 

そもそも、上司が部下に対して「やらされ感」と口にする時、彼らの心の中にはどんな心理が働いているのでしょうか?

 

仕事を頼まれた(任された)のであれば、もっと素直に返事をして張り切って取り組んで欲しい…とか、わからないことがあれば積極的に質問して欲しい…とか、いつもこちらから何かを指示するばかりでなく、たまには自分で考えて提案してきて欲しい…といった気持ちを部下に持っているにもかかわらず、言われたことをそのままやっている(指示待ち)とか、何も質問してこなかったから分かっていると思ったのに何も分かっていなかったなど、何となく期待外れな態度にがっかりしてしまう、そんな感じでしょうか。

 

では、一方の部下の方は何を感じ、何を考えているのでしょう?

 

私も会社員として指示を出す方も出される方も経験しましたので、先ほどの上司の気持ちは痛いほどわかりますが、正直、指示される側の立場の時は「やらされ感」という感覚は持ったことがありませんでした。確かに、上司から何か言われた時に素直に返事ができなかったかもしれませんし、言われないとやらないことも多かったように思います。上司が望むような、

 

「はい!喜んで!」

 

といった模範的な態度ではなかったのかもしれません。だからと言って、決して仕方なしにやっていたわけではなく、与えられた仕事はきちんとやろうと思っていました。ただ、今思えば、上司との温度差はあったのかもしれません。

 

その仕事は自分がどこまでやれば良いのか?(逆に何をやったらNGなのか?)…

勝手なことをやっては叱られるだろうし、でもいちいち質問するのも何だかな…

その仕事のゴールが見えない(全体像が理解できていない)のでスケジュール感とかひっ迫感がイマイチ伝わってこない…

 

など、戸惑いが表情や態度に表れていたように思います。

 

仮に、上司の方は「これは大切な仕事なんだから。それを君に任せんるんだから。」と思っていたとしても、言われた方は戸惑っている状態…これではすれ違いになって当然です。

 

しかし、上司と良好なコミュニケーションが取れているとこの戸惑いを感じにくかったように記憶しています。なぜなら、質問しやすいからです。えっ?そんな事?質問くらいしろよ!と思われたかもしれませんが、質問しやすい、意見を言いやすい、失敗を恐れず行動しやすい、というのは、とても大事なことなのです。

 

分からないことは聞いても良い、自分の意見を言っても良い、思い切って行動して仮に失敗しても大丈夫…上司との間にそんな信頼関係があれば、どんどん質問できます。

 

しかし、「さっきも言っただろう」「こんなこともわからないのか」と言った反応(言わなくても態度に出る)を上司がしてしまうとそこから先がなかなか進まなくなってしまうのです。能力が高くモチベーションが高い上司だからと言って、部下とのコミュニケーションが上手いとは限りません。無意識に自分の考えや価値観を押しつけてしまって、期待通りの反応が無いことにがっかりしたりイライラしたり…。もしかすると、「やらされ感」という概念はそういう悩める上司が勝手に生み出した幻想なのかもしれませんね。

 

さて、皆様の会社はいかがでしょうか?

「心理的安全」…聞かれたことがある社長も多いと思います。

 

世界中から聡明な人材を集めているのに、優れた成果を挙げるチームとそうでないチームが生じるのはなぜだろうか?という問題を解明するためにGoogle社が行なった調査では…社内から収集した大量のデータを解析して判明した「効率的に成果を挙げるチーム」の条件とは…「優秀なメンバーがいるか」ではなく、「メンバー同士がいかに協力しあうか」にあった…という結果を発表していました。

 

「チームの中でミスをしても、それを理由に非難されることはない」と思える心理的安全性。自律型人材育成のヒントはそこにあるのかもしれません。

コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか?下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。
おすすめ記事
まずはセミナーに
参加してみませんか?
営業や販路についてお悩みはございませんか?
全12回のコンサルティングから、単発のご相談まで、柔軟に対応しております。
一緒に、営業の課題を解決しましょう。
初めての方はセミナーにご参加ください。
まずはセミナー情報はこちら
課題が明確な方は個別相談から。
個別相談のお申込みはこちら