応援コラム

やる気に満ちている時こそ冷静に考えるべきこと

 

コロナによって経済活動が急激に減速してしまって1年以上が経ちますが、それぞれの企業が持つ底力を試されるのはまだまだこれから。国からの支援やその場しのぎの資金調達、小手先の手法などによって急場をしのいでも、そう長くは続きません。現状から目を逸らさずに真剣に向き合っていかなければ、恐らく多くの企業が大変な事態を迎えることになるでしょう。

 

その危機感を切実に感じている企業は、あの手この手で打って出ていますが、その肩に入り過ぎた力は時に間違った方向に頑張ってしまうことがあります。今日は、そんな事例をもとにコラムをお届けしたいと思います。昨年の社長交代を機に、部長に抜擢された方から先日ご相談を頂いた件…ご本人にもご承諾をいただきましたので可能な範囲でご紹介させていただきます。

 

これまで、先代の社長時代には“息のかかった”取り巻きが社内を牛耳っていたため、なかなかやり方・考え方が変わらず売上も下がる一方…何とかしなくては、というタイミングで昨年社長が交代。それを機に営業部長に昇格したその方は、自分なりの考えを強く持っていました。今のような営業のやり方(昔ながらのルートセールス一辺倒)では、取引先も高齢化するばかり。おまけにパソコンの使い方もよくわからない…という人も多く、商談のオンライン化も全く進まず。おかげでこの一年近く訪問することもできず、電話とFAXだけでやりとりをしていたのだそうです。

 

そしてこの部長。いよいよ自分の時代が来た!とばかりに張り切って取り掛かったのが、まずはオンライン商談ツールの導入。訪問できないために低迷している営業数字に頭を抱える部下に対して、積極的に活用するように指導しました。慣れないツールに部下もお客様も戸惑い気味ですが、まあ、会えないよりは顔が見えた方がコミュニケーションはとれるかも…と、少しずつですが浸透しているように見えたそうです。

 

そして次に手掛けたのがSNSを活用したPR活動。facebookTwitterを頻繁に更新するよう担当者を決めてスタートしたそうです。今は、ホームページをつくっただけでは誰も見に来てくれない、ましてや今のような訪問営業ができない状態で待っているだけの体制ではダメだと、積極的にアピールする方法をSNSに見い出したのだそうです。担当は、年配の営業マンよりも、どちらかというとスマホが得意な若い女性社員に任せて、社員や現場の写真、イベントの様子などを毎日配信するように決めたそうです。

 

しばらく経って、形だけはできているように見えた新体制も、何となく盛り上がりに欠け社内に疑問や不満の空気が溜まってきているのを肌で感じたそうです。ある日の営業会議の時にその不満が噴出したそうで、それは、部下のこんなひと言からだったそうです。

 

「部長のやり方は一方的すぎてついて行けません。前の〇〇部長だったら…」。

 

この言葉を聞いて愕然としたそうです。

 

前任の部長のやり方に不満を持っているのは自分だけじゃなく、皆も同じ気持ちだと思っていた…

 

今の時代に合ったやり方を皆も望んでいると思っていた…

 

しかし、そうでもなかったという事を今さらながらに思い知らされたと感じたそうです。

 

ようやく自分の時代が来た…そういう時にありがちなミスだと他人事だと気づけるのですが、いざ自分事となると意外と気づかないものなんですよね。

 

確かに、時代の変化と共に会社の在り方は変わっていく必要がありますが、その時に一番味方につけなければならないのはお客様ではなく自社の社員であり、仲間なのです。彼等に協力してもらえなければいくら画期的な手法やアイディアがあったとしても社内を変えることはできません。ましてやその状態で新たな売上を生み出していくことなど到底できるはずもありません。

 

この部長、まずは自分の考えを皆に分かってもらうことから始めました。

もう一度、一から出直しです。

 

オンライン商談ツールは、お客様とのコミュニケーションツールであって、決して売り込みの話ばかりするものではない、大切なのはお互いに顔をみて話すことなのだ…とか、SNS発信のために無理矢理カッコ良い写真を撮るのではなく、本当であれば目の前の大切なお客様に直接語り掛けたかっただろうメッセージをSNSという形に変えるだけなのだとか、そういった、「何のため」を一緒に伝えていくことで、社内にも理解者が増え、協力してくれるようになって、少しずつですがアイディアも出てくるようになりました。

 

そしてこの部長、次は、これまであたためてきた新たなプロジェクトも近々お披露目する予定なのだとか…そのお話を聞いて、「きっとうまく行く」そう感じました。

 

自分の立場や役割に責任を感じる人だからこそ、早く結果を出したい、何か形にしなければと焦りを感じてしまうものです。しかし、会社を永く存続させたい、そのために組織を強くしなやかにさせたい、と考えるのであれば、まずは誰を味方につけるべきかをしっかりと考える必要があります。

 

部下は家族ではありません。きちんと言葉にして伝えて納得してもらえなければ良い結果を生み出す組織にはなり得ないのです。自らの考えを言葉にして協力者を一人でも多くつくる努力をすべきは、何も経営者だけではないんですよ。

 

新しい地位に就いて張り切っているときこそ、自分の考えていることやそれが「何のため」なのかを言葉にして丁寧に伝えていく必要があります。

 

皆さんの会社は大丈夫ですか?

 

 

自分の考えや展望を言語化したいとお考えの経営者・事業部長の皆様、ぜひお気軽にご相談ください。「事業発展ストーリーのつくり方」は、オンラインセミナーでお伝えしています。(セミナーの詳細はこちら

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