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仕事がある“当たり前”の恐ろしさとは…?

20160812

夏休みやお盆休みのこの時期、全国各地で家族やカップルでの旅行を楽しむ人で溢れていますね。ご他聞に漏れずわが家でも、日頃の忙しさから離れ、ちょっとした“非日常”を求めて特別な時間を過ごしたい!と、近場ではありますが大切なお客様を招いて出掛けてみました。

 

そこは、地元でもこだわりのある場所としてそこそこ有名な旅館。私自身も何年か前に泊まったことがあり、確か良いところだったよな~という記憶から、そちらへお客様をお連れすることにしました。ところが、です。楽しみにしていたお料理も、自慢の露天風呂も、そしてスタッフのおもてなしも…。何ひとつ満足いくものは無く、旅館の命ともいえる“料理・風呂・接客”の3点セットがまるでダメという最悪の結果になってしまったのです。ご招待したお客様の表情は一様に苦笑い…「また来たい」とはほど遠かったに違いありません。

 

聞くと、以前はいかに多くのお客様に来てもらえるようにしようかとスタッフ全員で知恵を出し合い、一生懸命工夫をして、お出迎えや料理の一品一品に“オリジナリティ”を出し、ちょっとした気遣いやお部屋でのサービスにも魂を込めていたようですが、ここ数年すっかり有名になって、ある程度放っておいてもお客様が来てくださるようになり、ネットを使った海外からのお客様も来てくださるようになったため、以前のような努力をしなくなったのではないか?というウワサを聞きました。実際のところはわかりませんが、確かに私たち人間の弱いところは、「状況が良くなると、過去の辛さを忘れ、つい現状に甘んじてしまう」ところです。どうすれば集客できるのか、幅広い年代に料理を喜んでもらうにはどうしたら良いか、狭いながらもリラックスして入浴してもらうには何が必要か?その当時、必死に考えて努力していたことも、当たり前にできるようになってしまうと、ついつい忘れてしまうのが“初心”です。初心とは、自分達の存在を認めてくれる人がまったく居なかったあの頃の、売りも強みもリピーターも…何も無かったあの頃の情けなさのことです。

 

これまで“ゼロ”だった会社も、ある程度まとまった顧客が、ある程度同じ頻度で来てくれる(買ってくれる・注文してくれる)ようになると、いつの間にかそれが“当たり前”になってくるのです。もちろん、私たちはそうして次々とステージを上って成長して行かなければなりませんが、一つだけ忘れてはならない大切なことがあります。それは…

 

「お客様が向こうからやって来てくれる、と思った瞬間に受身な体質になる」

 

ということです。サービス業も卸業も、製造業でも建設業でも全ての業種に共通して言えることですが、大した努力をしないでも向こうから仕事が入ってくるようになると、それまでの、“仕事を獲る”という発想から“こなす”という思考に変換されてしまうのです。“こなす”という受身な思考になった途端に、意識の矢印は自分達の方向を向き、“なるべく手間を掛けずに、早く、みんな同じように片付けたい”という願望に変わっていきます。そしてそこには、目の前のお客様がどうしたら喜んでくれるかな~というワクワク感もなければ、どうやって驚かせようか?とドキドキする好奇心もありません。

 

向こうからやって来る仕事に慣れっこになり、ワクワクやドキドキを忘れた会社は、仕事を効率的に片付けることと経費を抑えることに注力していきます。「入ってくる当たり前」に対して、いかに出て行くものを抑えて会社に利益を残そうか?という受身な発想になるからです。

 

しかし、本来経営者が考えるべきは、他社にない品質を提供し、他人には真似できない自分達だけの“サプライズ”を提供できるかという付加価値を磨くことではないでしょうか?特に資本の小さな会社は、価格勝負だけでは決して大手に勝てません。貴方のお店、貴方の会社、貴方の商品を“貴方だから”と選んでもらえるようにして行かなければ「他と何ら変わらないワリに、何だか高いわね~」と言われてしまうのです。

 

経営者の皆さま。最近仕事が安定しているな~と安心していませんか?いや、むしろ追われているな~と感じていませんか?仕事が向こうからやってくる恐ろしさに気付いていますか?お客様のアンテナは、“こなされる”という空気にとても敏感なんですよ。

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