応援コラム

営業の成果と社員のモチベーションの両方は成立するのか?

 

「今期から新たな取り組みを開始して確かに売上数字は伸びていますが、実際に動いてくれている社員たちのやる気とかモチベーションといったものはどうなんでしょうね…」先日、ある経営者とお話をしていて出てきた言葉です。今までやって来なかった既存顧客へのアプローチ(長く取引が無かった休眠顧客の掘り起こし)を中心にやってみたところ、思った以上に効果が上がっているとのこと…しかし、社内でそれほど盛り上がっている雰囲気はなく、ただやれと言われているからやっているのか、それともやりがいを感じて頑張ってくれているのか分からないといった様子でした。この近年、営業社員の入れ替わりが激しく、やっと仕事を覚えたと思った頃に辞めていく者も少なくなくて、社長にとっては営業数字と同じくらい社員のモチベーションが気になるようです。

 

営業という世界は常に数字との真剣勝負です。どんなに頑張っても成果につながらなければ評価してもらえない、どんなにお客様から信頼を得ても契約してもらえなければ何も始まらない、何年かけてようやく契約にこぎつけた案件も他社からの攻勢であっという間にひっくり返されてしまう…といったことが毎日繰り返されます。私が経験した保険業界も正にそうで、日々“とった”“とられた”の繰り返しでした。本当は、1件あたりの契約に何回訪問するのか?何時間滞在するのか?何年継続してもらえるか?で会社の収益は大きく変わるのですが、当時の私はただ目の前の目標を達成することで精一杯。それが利益につながったのか?長く継続してくれるのか?は後の話で、ましてやその時にやる気があったのかとか、モチベーションがあったのかいったことについては、正直気が回らなかったというのが本当のところです。

 

しかし、組織として社員を雇って営業してもらうためには、その目的や目標の中に部下の育成も盛り込まれている必要があります。なぜなら、人は機械のように感情無しに働くわけではなく、働くことによって得られる多くの人との出会いの場や経験などを通じて自己の成長を味わうことで生きがいややりがいを感じることができるからです。そのような成長の機会を提供するためにも、営業の現場のみならず会社が目指す方向性をしっかりと示し、人が育つ環境を考えていかなければならないのです。

 

人が育つ仕組みというと、多くの企業が取り組んでいるのが「社員研修」ではないでしょうか。外部から講師を呼んできて営業のやり方を教えてもらう形のものです。私も過去に営業研修は相当数(延べ2,000人以上)行った経験がありますので、その大切さは否定しません。しかし、その研修に参加した全ての人に成果が出たのかと聞かれれば大いに疑問があります。営業研修的なものは、会社から言われて仕方なく参加している社員も少なくなく、その場を何とかやり過ごして、現場に帰ったら普段のやり方に戻ってしまう(教わったことを実行しない)人が多いのも現実です。

 

また、そもそも研修参加の目的が明確かどうか?が一番大切なところです。例えば、以前、研修講師として頻繁に登壇していた大手企業や金融機関などには営業戦略的なものがしっかりとあって、その年、その時期の重要施策がはっきりと明示されていて、営業社員はその中にいて自分の目標をいかに達成するかを考えれば良い環境にありました。なので、お客様のニーズを引き出すための手法や、相手に伝わる提案の仕方、断りを受けた際の切り返しトークなどを学んで帰って実践すれば多くの社員が即結果につながったのですが、中小企業は少しワケが違います。小手先のやり方だけ伝えても、そもそもの営業戦略が明確になっていない(あっても社内にうまく浸透できていない)という会社が少なくなく、そのお手伝いから関わる必要性を感じて、研修講師ではなくコンサルティングの提供を始めて現在に至ります。

 

会社はまずどこへ向かうのかという方向性を示す必要がありますが、その時に、資金や人材など使える資源に限りがある中小企業は、闇雲に動き回っても成果が出るまで体力が持ちません。だからこそ、自社が持てる強みを最大限に活かす戦略を立てなければならないのです。更に、「現場にいる営業社員が育つ体制づくり」もあわせて考える必要があるのですが、実際にどのようにすれば良いのでしょうか。

 

それは、まず全体像と流れを可視化することです。そして、各プロセスで何をするのか?何をゴールとして目標を立てるのか?それぞれの言葉の定義は何か?についてしっかりと話し合ってから現場におろすということを丁寧に行なうことです。

 

冒頭の会社の休眠顧客の掘り起こしであれば、まずは休眠顧客とは誰のことを指しているのか?という定義です。会社によって、半年以上・1年以上と期限を区切って取引が遠のいている顧客のことを指すでしょうし、また別の会社では、1度きりの取引で終わっている顧客と、過去に複数回取引があったのに最近無くなった顧客を分けて考えるかもしれません。いずれにしても、既存顧客が多い会社ほど整理されておらず、一括りになってしまっているもったいないケースもあります。

 

また、その休眠顧客へのアプローチ方法は何(DMなのか訪問なのかテレアポなのか)で、どこをゴールにするのかを明確にしておく必要があります。ここでよく使うのが「ヒアリングシート」です。自社が知りたい情報(なぜ休眠状態に至ったのか、どうすれば復活するのかのヒント)を集めるためのシートを作成し、その回収までを第一のゴールと設定する。そしてそのやり方をOJTで指導する…そこまでを決めておけば、社員も安心して取り組むことができますし、最初は嫌々だった社員もきちんと成果が出てくれば自ずとモチベーションも向上し、結果、やる気につながります。営業の成果と社員のモチベーションは一対です。やる気がある社員が結果を出すのではなく、結果が出る仕組みがあるからやる気のある社員が育つのです。

 

さて、皆様の会社はいかがでしょうか。

 

来週21日に東京でリアルセミナーを開催いたします。

少人数制、ご希望の方には後日個別相談を無料で承ります。

やる気のある営業社員が育つ体制づくりを真剣にお考えの経営者の皆様、

この機会にぜひご参加ください!

 

コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか?下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。
おすすめ記事
まずはセミナーに
参加してみませんか?
営業や販路についてお悩みはございませんか?
全12回のコンサルティングから、単発のご相談まで、柔軟に対応しております。
一緒に、営業の課題を解決しましょう。
初めての方はセミナーにご参加ください。
まずはセミナー情報はこちら
課題が明確な方は個別相談から。
個別相談のお申込みはこちら