応援コラム

社長、「手っ取り早く」…は無いですよ。

 

皆さんは「べき乗の法則」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

 

以前、息子が通っていた塾の先生からこんなことを言われたことがあります。

「勉強の努力と学習効果は単純な比例関係ではなく、ある時を境に一気に上昇するんです。最初はゆっくりに感じるかもしれないけれど、長く続けるほどに急カーブを描いて伸びていきます。だから、すぐに結果が出なくても地道に続けることが大切ですよ。」

…と。

 

決して安くはない学習塾に子どもを通わせようと思うタイミングといえば、「試験前」とか、「受験対策」。親としては、どちらかと言えば地道にコツコツ…よりも、「何か画期的な勉強法?!」を期待して行ったのですが、そんな魔法みたいな方法はありませんから、という先生からのワンパンチでした。

 

先生の言い分はこうです。

 

学力を数字で表した時、

比例関係なら2、4、6、8、10、12、14、16、18、20…だが、

1、2、4、8、16、32、64、128、256,512…のように上がっていくのがべき乗だ、と。(この差が凄すぎます!?)

 

その理由は、例えば、1時間当たりに解ける数学の問題が以前は2問だったけど、今は4問解けるようになった、つまり2倍の速度で解けるようになったことになる。でも、これは単純に2倍になっただけじゃないんだ、と。4問解けるようになったということはその分処理が速くなるので、勉強へのストレスが減り、より集中できるようになる。これを繰り返すことによって、勉強の能率が上がるし、その分、勉強量が確保できる。自分なりの勉強方法が身についてくれば、更に加速するんだ、と。そうした様々な要素が絡み合って相乗効果をもたらすので学力はべき乗に上がっていくのです、と。

 

確かにおっしゃる通り!と、その時は大いに納得したのですが、でも、そもそも勉強が毎日続かない(習慣化が難しい)のよね、というスタート時点の現実があり、理想の急成長はなかなかハードルが高かったように記憶しています。

 

私が営業マンだった時にも上司から同じようなことを言われました。石の上にも3年、とにかく続けていると段々と知識や経験が積み重なって、できることが増える、それが自信につながって成績は急激に伸びるようになるから、とにかく長く続けることが大切だ、と。

 

今、振り返ってみると、確かに長く続けてきて本当に良かったなと思います。最初は保険そのものの知識が乏しく、お客様から質問されてもうまく答えることができなかったし、それ以前に相手にさえしてもらえなかったのですが、徐々に経験を積むことで説得力のある提案ができるようになり、実績ができるとお客様側から相談を受ける機会も増えました。信頼できるパートナーや相談できる専門家が増えることでその勢いは一気に加速した…そんな感じだったのかもしれません。

 

ただ、やはり現実は厳しく、私の周りは早々に退職する人が後を絶ちませんでした。3年どころか、1年続けば良い方、早い人だと1週間で辞めていく…ということも珍しくありません。

 

子どもの勉強も営業活動も、もしかすると他の仕事や事業そのものにも共通するかもしれない、この「成長曲線」。私なりの考えと対策について2つの視点で書いてみたいと思います。

 

まず1つめは、多くの人の前に立ちはだかる「スタートラインのハードル」について。

勉強しないといけない、営業活動をしないといけない、日々やるべきことをきちんとこなしていかなければならない…と頭ではわかっているのに、その一歩が踏み出せない問題。

 

よく、目標が明確じゃないから…とか、ゴールが見えていないから…とか、でっかい夢を持って…などと言われますが、この段階ではまだ少し早いかもしれません。それよりも、一歩踏み出せない人の心理としては、「何からやれば良いのかわからない」「うまくできる自信がない」「失敗したらどうしよう」といった不安がぎっしり詰まっていて身動きが取れない状態なので、まずは気楽に一歩踏み出して、小さな成功体験を積ませてあげることが大切です。そのためには、上司や先輩が指導しながら一緒にやって褒めてあげることが重要です。いきなり丸投げしてやらせようと思ってもうまくいくはずがありません。

 

また、この時に効果があるのがキャンペーンなどのご褒美です。

 

私もこのキャンペーン入賞を目標にして様々な取り組みに挑戦してきましたが、結果として営業活動そのものの経験を多く積むことができたのです。それを繰り返していく中で、様々なお客様に接し、少しづつレベルを上げながら実績ができることで自信につながりました。

 

そして、ここで重要になってくるのが「ゴール」とか「ビジョン」です。多くの人が悩む「続かないんです問題…」に向き合うための2つめのポイントです。

 

冒頭の塾の先生のお話にあった「べき乗」の考えでいくと、キャンペーンを目的として地道な活動を繰り返している間は、まだまだ小さな成長の繰り返し。少しできるようになったけど、大きな成果には程遠いな~と感じる時期です。この後、急激に上昇する成長曲線を描くためには「継続させる」ことが大事なのです。

 

仕事に自信がついたり、できることが増えるようになったりしたこのタイミングだからこそ、目先の賞金や商品だけをぶら下げるのではなく、次のステージに上がるための明確な目標やゴールの設定が重要になってきます。これは、新入社員に限った話ではなく、既存の社員、ベテランの社員においても同じことが言えます。

 

継続して大きな力に変換させるためには、会社が目指すゴールやビジョンをしっかりと伝えながら、今、困っていることやうまくいかない理由についてしっかりと聞いて一緒に解決しようとする姿勢が大事なのです。

 

新たな商品を開発したり、画期的なシステムを導入したり、事業のネタを探してくることは社長の大事な仕事ですが、それを長く継続的に、そして大きな力に変換させる土壌をつくることも社長の大事な仕事なのです。

 

短期的な成果と長期的な成長、会社にはどちらも大切であるし、そのバランスを保つことが安定的な繁栄につながる…私はそう考えますが、皆様はどう思われますか?

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