応援コラム

第279話 未来は自分で切り拓く!あなたはどうなりたいの?…と聞かれたら

 

 

独立して間もない頃、ある女性社長にこう聞かれました。

「自分の未来は自分で切り拓く!あなたは一体どうなりたいの?」と。

 

当時、勢いで会社はつくってみたものの、具体的な戦略とかビジネスモデルとかいうものは全く無く、自分がやってきたこと(経験やノウハウ)を活かして人に喜ばれる仕事ができたらいいな、みたいなふわ~っとした気持ちだった私を見て、そう聞きたくなった気持ちが今ならすごくよくわかりますが、その頃の私は目の前の事をこなし、日々を生きることで精一杯だったのです。自分の未来をどうしたいのか?そんなことを聞かれても…と。

 

「思考は現実化する」という言葉を聞いたことがある人は少なくないはずです。成功哲学をまとめた有名な本のタイトルですが、実はこれは脳科学的にも正しいといわれています。私たちの脳は五感を通して1秒間に数千個の情報を感知するらしいのですが、ちゃんと認識できるのはせいぜい10個程度なのだとか。例えば、今から10秒間、あなたの周りにある「赤いもの」を探してください!と言われたとき、きっとそこにほかの色があったとしても、その10秒間はほぼ「赤いもの」しか目に入らなくなるはずです。人間の脳は自分が見たいものしか見ないので、「何かを思い始めた瞬間からそればかりが目につくようになる」というわけです。(二日酔いの日にどうしてもラーメンが食べたくて、妙にラーメン屋さんの看板ばかりが目に入ってくる経験をしたことはありませんか?あの感覚です)社長を筆頭に社員全員が徹底して赤いもの探しを行うとしたら…そりゃ未来は変わって当然、ということです。だから、何を現実化するのか?という指令はより明確に出す必要があるのです。冒頭の女性社長も、ぼんやりしている私に「何を目指すのか、はっきりさせなさい」と言いたかったのでしょう。

 

ただ、そうは言っても、いつもうまく行くわけではありません。誠実にまっすぐ前を向いて歩いていても、行く手を阻むものは必ず現れます。原因が内部にある場合はある程度目が届きますが、外部環境の変化はどうしようもないことが多いのが現実です。例えば、このコラムでもよくお伝えしている「大口依存体質」などは非常に危険です。“Xデー”は現実として突如やってきます。以前、ご相談をいただいた金属部品製造会社では、売上の半分近くを占めていた仕事が、ある日突然、海外の会社に渡ってしまい年間数億円の取引が無くなってしまったり、また、ある食品製造会社では年間数千万円の受注があった大口顧客が倒産したり…といった具合に。

 

私も、大手研修会社の仕事をしていた頃、担当者が変わったことが理由でバッサリと切られて安定して受注していた仕事がゼロになった経験があります。何年もかけて積み上げた信頼関係や、顧客満足・顧客への貢献などどんなに実績があっても、何の前触れもなく、本当にあっさりと消えて無くなりました。他を断ってでもそこの仕事を優先して都合をつけていたのですが、そんな一途な私の思いなど届くわけもありません。そして、大きな売上を突然失うことの恐ろしさは、金銭的な問題を引き起こすだけではなく、社内に動揺が広がるところにあります。“揺らぐ”のです。その揺らぎの影響は思った以上に強く、空いた穴(失った売上)をふさごうと右往左往してしまうという行動につながります。

 

元々、大口顧客との関係は一朝一夕に構築されたのではなく、最初は小さな取引から始まって徐々に大きく育てられたもののはずです。それを一気に補える相手や仕事など簡単に見つかるはずもなく、手当たり次第に数字になる仕事を探し回る…という事態を引き起こしてしまいます。

 

そう、方向性を見失ってしまうのです。

 

本来自社が得意とする分野ではない仕事を受けると、品質が下がり、顧客満足度も当然上がらない…結果、もちろんリピートにもつながらない、付け焼刃のやっつけ仕事を繰り返すことで目先の売上は取れても成果が出ずモチベーションが下がる、手っ取り早く売上にするために大手と組んだり有名な商材を扱ってみたりする…

 

実はこれ、すべて迷走していた頃に私がやった失敗の数々です。

 

本来は、揺らいだ時にこそ自社が持っている強みを再度掘り起こして磨き上げ、本当に目指すべき方向に向かって力強く進まなければならないはずなのに、売上!売上!という自らの大号令と共に目先の人参に食らいつき、食べ尽くしたら次の人参を探す、人参が無くなったら今度は大根でも何でも…といった具合です。気が付いた時には「何でも屋さん」の看板を掲げ、自社に足りない信頼やブランドは外部の大手企業や有名商品で補おうとしてしまったのです。依存体質を抜け出そうとしていたはずなのに、更に深い依存体質に陥ってしまう最悪のパターンです。

 

私の失敗事例を見ていただいておわかりいただけたと思いますが、揺らいだ時に絶対にやってはならないことは、その源泉を外部に求めてしまうことです。他社とのコラボや有名商材の取り扱いなどは、自社の方向性が確立され、その戦略上のコマの一つとして扱うべきです。

 

まずは社内を見渡し、社員一人一人の力を見極めると同時に、顧客や取引先・自社の歴史をしっかりと見て価値を見い出すことが先決です。

 

変化の激しい時代だからこそ、日頃からブレない軸をつくって、自社で開拓営業ができる仕組みを標準装備として構築してくことは非常に大切なのです。本当に本当に大切なんですよ。

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