応援コラム

第282話 コロナは日本人の「村意識」を変えるチャンスとなったのか?

 

「村社会」とネットで調べると「集落に基づいて形成される地域社会。特に、有力者を中心に厳しい秩序を保ち、しきたりを守りながら、よそ者を受け入れようとしない排他的な社会をいう」と出てきます。「しきたりに背くと村八分などの制裁がある」とも。村八分っていつの時代だよ…と思いますが、現代の日本にはこの意識が根強く生きているのです。もう2年以上も続いているコロナ騒動ですが、今回のことで閉鎖的な「村」のニオイを思い出しました。人と同じであれという無言の圧力、違うものや異質のものを排除しようとする心理は、病気以上に恐ろしいものだと感じさせられました。

 

この「村」のニオイは地方に行くほど強いと感じていて、例えば私の地元島根県も例外ではありません。保険時代には県外から3~5年サイクルで新しい支店長が赴任してきますが、なかなか土地に馴染めず、ようやく馴染んだ頃に転勤になっていく…なんていう話を聞いたことがあります。また、5年前から関わっているベトナム人材の採用や活用のご支援の中でも「外国人」を特別扱いする感覚があると感じています。特別扱いというと聞こえはいいですが、「よそ者扱い」と言った方が近いかもしれません。職場でも、住んでるアパートでも、通勤途中でも、近所のスーパーでも、何かあれば「〇〇人だから…」と言われて問題になる、なんていうことは日常茶飯事でした。現在、一時的に海外との行き来はストップしていますが、もうじき再開します。働き手としても、買い手としても、そしてビジネスパートナーとしても…もはや無視できない存在となっている海外の人達とどう接していくのか?を真剣に考える時なのではないでしょうか。

 

先日、知り合いの社長が新刊を出版なさったと聞き、早速私も読ませていただきました。タイトルは「新興国人材と健全に向きあう」(カナリアコミュニケーションズ・近藤昇氏著)。近藤社長が30年以上関わって来られた新興国発展に貢献する事業の中で感じた、日本企業が抱える課題や期待される意識と行動について書かれた本です。

 

外国人技能実習制度の実態や日本人の若者から人気が無い3K・重労働職場の現実、「親日」や「日本語能力の高さ」を求める一方で彼ら・彼女らの国や文化について理解を深めようとしない日本の企業、地方の閉鎖的な「村社会」で孤立し夢と希望が色褪せていく海外の若者たち…など、私もベトナム人材の採用や教育に関わる中で感じてきた事をそのまま語ってくれている一冊でした。同時に、そんな中でも新興国の人材活用に積極的に取り組んで成功している11社の事例は非常に参考になりました。

 

海外の人材を採用する社長の多くは、「日本人が持ち合わせていない彼らのハングリー精神には感心させられる、日本人が失ってしまった何かを気づかせてくれる」とおっしゃいますが、私も同感です。海外の人と仕事をさせて頂く機会も多く、彼らの日本語のうまさにはいつも感心させられます。私も以前から何度となく英語の勉強をしては挫折する…を繰り返していますが、未だに日常会話もままならないレベルですが、彼らはわずか半年ほどで私たちと会話できるレベルにまで上達します。そして、積極的に日本語でコミュニケーションを取ってくる姿には本当に脱帽です。また、日本では子どもが小さいうちは母親が家で面倒を見るのが当たり前みたいな風潮がありますが、彼らはそうではありません。働ける者が働いて(ベトナムなどはどちらかというと女性の方がよく働く印象があります)子どもは家族みんなが協力して面倒をみる、というのも珍しくなく、小さな子どもを母国に置いて働きに来ている女性も多くいます。そんな彼らだからこそ、限られた時間を無駄にすることなく、しっかりとお金を稼いで、スキルを身に付けて、そして良い仲間をつくって「次」に活かそうとするのだと思います。

 

戦後の日本もきっとハングリー精神で溢れていたのでしょうが、皆が同じように豊かな生活を手に入れた現代にそれを期待するのは難しいのかもしれません。反対に、今の日本では職場でも学校でも「従順さ」を求められることが多く、言われたことをやる(自分の頭で考えられない)人間が量産されている印象を強く持ちます。ある程度は仕方のないことなのかもしれませんが、人と違うことを否定したり出る杭を打つことばかりをしていては新たなものは生まれないし、社会全体が変化することが難しいのではないかと思います。

 

今、私の知り合いの社長たちにお声掛けをさせていただいて、各地に「ベトナム勉強会」を立ち上げようと企画しています。ベトナムの人材を採用するとか、ベトナムに進出するとか、そういった具体的な目標がある社長だけでなく、海外に目を向けて様々なことを知りたい、自社に新たな風を吹き込むヒントが欲しい、まずは行ってみたい・見てみたい…そういった変革意識の高い方たちとの交流の場になれば嬉しいと思っています。新たなものを受け入れる、海外の人と良い関係性を築くために必要なことは、まずお互いを知ることから始まります。何か変えていきたい…とお考えの経営者の皆様、ぜひお気軽にお声掛けくださいね。

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