応援コラム

第284話 多くの会社がやってしまう「新入社員に期待する〇〇」

 

4月に入り、新入社員を迎え入れた企業も多いと思います。この時期は、会社も社員も程よい緊張感を持ち、気持ちも新たになって更なる成長や新しい取り組みに対する期待が高まるものですが、皆様の会社はいかがでしょうか?

 

そんな「新たな出会いの場づくり」は毎年繰り返されていると思いますが、そもそも、企業は何のために新しい人を採用するのでしょうか。

 

「現場が人手不足で、そこの仕事をやってくれる人を入れないと回らないんだよ…」

とか、

「社員が辞めちゃって、その穴埋めをしないといけないし…」

とか。

 

また、

「新たな事業を考えていて、そこを任せられる人材を入れたいんだ…」

など、様々な目的があると思います。

 

私もベトナム人材の採用に関してご相談を受ける機会が多いのですが、その採用の目的は様々です。単純に、「今ある仕事をやってもらう人を探したい…」というケースもあれば、「今後、外国人材を活用した新たな事業やサービスを考えている」とか、「将来ベトナム進出をする際の中核となる人材を採用して育てたい」といったケースもあります。他にも、新しい人材が入ることによって会社の空気(組織文化)を変えていきたいと期待する会社も少なくありません。

 

しかし、この採用の目的によって当然社内で整えておくべき体制は異なります。今回のコラムでは、特に多くの会社が抱いてしまいがちな「会社の空気を変えて欲しい」という期待について考えてみました。

 

今ある仕事をやってもらう人を採用する場合は、既に仕事の流れややり方が決まっていて、社内にはマニュアルなども整っているかもしれません。教える側も、「教え方のプロ」でなくとも日常の業務を順番に説明していくだけで大方のことは伝えられますし、社内には多くの経験者や「前例」が存在し、決められたことを決められた通りにこなせる人材を育てるのは比較的容易でどこの会社も慣れていることだと思います。

 

一方、「会社の空気を変えて欲しい」という場合は少し勝手が違います。長い時間を掛けて社内に根付いた考え方や価値観を変えなければならないからです。海外の会社であれば、思い切って社員を総替え…!?なんていうこともアリかもしれませんが、簡単にクビにできない日本型の雇用制度ではそうはいきません。日本企業は、「変えたい」と思ってもなかなか変わってくれない人の思考回路や習慣を、じっくりと時間をかけて変えていかなければならないわけです。なかなか骨の折れる仕事ですが、そこに登場するのが新しい人材。特に若い人は頭が真っ新ですから、採用する側もついつい企業文化に変革を促すキーマンになって欲しいと期待してしまうわけです。私も若い頃に経験がありますが、入社の際に、「君たちには新たな風を期待しています」と言われたりするわけです。

 

しかし、実はここには大きな落とし穴があって、新入社員は確かに変な思い込みがないので新しい意見や考え方を出しやすい人ではありますが、会社の組織の中では最も力を持たない者である…ということを理解しておかなければなりません。良かれと思って出したアイディアや思い切った行動も社内の諸先輩方の反対や否定、無言の圧力などが加わって、やがて心が折れて辞めてしまう…ということにもなりかねません。旧態依然とした組織には、「変わりたくない」「自分の仕事(持ち場)を守りたい」「新たなことに挑戦したくない」というネガティブな力が無意識に働いてしまうということを理解しておく必要があります。

 

組織文化を変えていくことは非常に大変なことですが、きちんと段階を踏んで実行していけば必ずできます。そのステップを端折らずに上っていくことと順番を間違わないことがとても大切なのです。今回はステップ1から3についてお伝えしたいと思います。

 

まず第1ステップは、「変わらなければならない」と社員に本気で感じてもらうこと。

 

社員にとっては、目の前の業務をこなすことが大切な仕事なのですが、会社としては、今のままのやり方・考え方を繰り返しているばかりではなく、世の中の流れや変化に合わせて成長・変革していく必要があります。「変えたい」と思う社長と、「変わらない」社員…この温度差を埋める作業が必要となります。社長がやるべきことは、これまでの会社の歴史を紐解き、自社の成長を支えている「幹」は何なのか?今後向かいたい先はどこなのか?そのために「今」何が求められているのか?といったことを丁寧に伝えることから始める必要があります。

 

そして第2ステップは、「中核となるメンバーを選出する」

 

会社の未来や社長の考えに賛同し、変革推進に一緒に取り組むメンバーを選出します。中小企業では、幹部の人数が限られていて、常に同じ顔ぶれで様々なプロジェクトに取り組んでいるケースも少なくないと思いますが、社員の中にも「変わりたい」「もっと成長したい」という意欲が高い人材や積極的な人材がいるはずです。日頃から、部下に挑戦の機会を与えたり良好なコミュニケーションをとったりすることで、相応しいメンバーの選出が可能になります。

 

その次、第3ステップは、「ビジョンと戦略を明確にする」

 

組織文化を変える…と言っても、会社によって抱える課題も違うでしょうし、様々な目的や目標があると思います。弊社にご相談をくださる会社には、これまでの受け身な営業体制を脱し自社で新規開拓ができるようになりたいという会社や、これまでの実績や強みを活かして新たな顧客開拓に挑戦したいと考える会社、トップダウン型の組織からボトムアップ型の組織に変えたい、自発的な社員が育つ会社にしたい…といったところが多く、そのためのビジョンや具体的な戦略を形にしていく必要があり、それを社内に周知徹底させることが次のステップになるのです。

 

組織文化を変革させるためのステップはまだ続きがありますが、またの機会にご紹介いたします。いずれにしても、新入社員を投入するのはこれらの段階を経て、社内に体制が整ってから…ということになります。

 

「手っ取り早く」「とりあえず」社員を採用してみて、やりながら考える…やり方では、新人を犠牲にするだけです。あなたの会社の体制は整っていますか?

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