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第285話 生産性を10倍にしたい社長が考えたこと

 

「今回、営業プロセスを可視化したことで、社内のムダも見えてきましたし、もっと力を入れるべきところもわかりました!これで生産性10倍も夢じゃないですね」

 

現在、営業体制を見直している会社で社長がおっしゃった言葉です。これまで現場任せにしていた営業のやり方を根本から変えて、もっと“効率良く”収益を上げられる体制をつくろうということで半年前から取り組んでいます。“効率良く”稼ぎたいというのは多くの社長が望むこと…ただ、高収益な体制をつくっていく中で、結果、ムダが無くなったというのはよくあることですが、ムダを省くだけでは大きな収益を生み出すのはなかなか難しいものです。そこで、今回のコラムではその違いとポイントについて書いてみたいと思います。

 

「効率良く」といえば、一般的によく使われている言葉が「業務効率化」とか「生産性の向上」ですよね。同じような意味合いで使われる方もいらっしゃいますが、少しニュアンスが違います。ざっくり言えば、「生産性の向上」とは、社内の資源(人とかお金など)を使ってより多くの利益を生み出せるようにすること。「業務効率化」とは、ムダな作業や不必要な業務を見直して改善すること…その結果、生産性が上がることもあるので、生産性の向上と業務効率化は「結果」と「手段」の関係にあると言えるかもしれませんが、より大きな結果を求めるのであれば、業務の効率化を進めると同時に高付加価値な商品・サービスを生み出していく必要があります。いずれにしても、効率良く収益を上げられる体制をつくるということは会社全体で取り組んでいくべき一大プロジェクトだと心得ておくことが重要です。

 

しかし、様々な会社の現場でよく見かけるのが、「社員一人ひとりの収益を大きくしよう」とする取り組みです。一人あたりの生産量を増やすことや、営業マン一人あたりの売上を上げることにフォーカスしてしまうパターンです。その結果、社員が「成果を出さないといけない」と意気込んで仕事をしてしまい、ただただ一生懸命仕事をしただけで、逆に生産性が落ちる原因になっている…なんていう残念なことになってしまったりしています。

 

私も以前営業マンだった頃に経験がありますが、「社員一人あたりの売上向上」が社内に掲げられたものの、今のやり方の延長で売上を増やすやり方(単純に個人のノルマが増えただけ)だったため、より多くの顧客を訪問し1件でも多く見積りを出して新規開拓を進める一方で、既存顧客へのプラス提案やそこからのご紹介を…と、とにかくがむしゃらに頑張るという毎日を繰り返していました。

 

例えばこれが半年に1度の「保険月」みたいなお祭り行事であれば集中力も保てますが、年から年中「売上!売上!」と言われていてはモチベーションも下がるいっぽう。仮に一時的に売上は上がっても、残業代を含めて計算するとかえって生産性が下がってしまうという結果に…。また、残業が常習化してくると、「終わらなかったら残業すればいいや」と考える社員が増え、最初から時間内に終わらすことを諦めてしまうことにもつながりかねません。大切なことは、どうしたらもっと短い時間で終わらせられるのか?他にやり方は無いのか?やらなくても良いこと(やめるべきこと)は無いか?を検討し、高付加価値な体制にシフトするための時間を捻出し、発想を転換することから始めることです。

 

例えば、保険営業で考えた時の「業務効率化」と「生産性の向上」の場合。毎日の業務の中で重複している書類記入や資料の管理方法、社内の情報共有など少し工夫すれば手間が省ける作業や時短できること、止めてしまってもいい習慣(昔からやっているから…みたいなこと)、訪問の順番やアポイントの取り方など、普段は本人任せにしていることを可視化してみると、意味もなく習慣化されていることや自分流のやりやすい方法でやってしまっていることを発見・修正し、効率化することができます。

 

そしてそこで生まれた時間を活用して、コンサルティングスキルを身に付けて単なる商品売りの営業から卒業するとか、相続や事業承継・金融商品などについて学び、これまでとは違う顧客層を取り込んでいくなど、新たな価値を生み出していくわけです。

 

ここまでを簡単にまとめると…

 

①今の仕事のやり方を可視化する

毎日やっている仕事でも、誰が、何を目的に、どのような流れで行っているのかを細分化できていないケースも多いものです。ひとつの仕事が完了するまで、どのような流れで行っているのか確認し、まずは誰もが分かるように見える化しましょう。

 

②業務のムダを洗い出す

仕事の流れが可視化されると、その中にムダな動きや作業を発見することができます。書類の提出や確認作業など、これまで当たり前だと思ってやっていた業務も不必要なことはたくさんあります。もっと効率化できる部分はないか?確認しましょう。

 

③高付加価値に変換させる

他社と同じような商品やサービスでは自分の会社だけ特別に高い値段をつけるわけにはいきません(仮につけても買ってもらえません)ので、他社に無い商品・サービスを販売するか、自分の会社にしか提供できないものをつくっていきましょう。そのための「棚卸し」は非常に重要なことなのです。

 

冒頭の会社でも、営業のやり方や考え方を見直す中で不必要な業務を見つけ出すことができましたし、一方で、社内の強みや魅力を棚卸ししたりしている過程で思わぬ資産(社員が普段片手間でやっていることが実は有料級のノウハウだった)を見つけ出し、新たなサービスに繋げるヒントになりました。本人任せの「努力」や「根性」ではいくら頑張っても生産性10倍は難しいですが、きちんと体系立てて作り上げていけば、決して難しい数字ではないのです。

 

あなたの会社の生産性はどれだけ向上できそうですか?

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