応援コラム

第287話 世代交代を戦略的に仕掛ける ~会社のアンチエイジング~

 

「学生時代に起業して今年で10年目になります。この10年、色々あり過ぎましたのでこれからは順調にいくと良いな~と思っているところです。」

 

先日、会食でご一緒した30代の社長。毎日のトレーニングも欠かさないとおっしゃるその引き締まった体とハツラツとした口調に、その場にいた年上の社長達(私も含む)が全員、「いやいや、まだまだこれからですよ~色々あるのは。」と間髪入れずツッコミました(笑)。最近は、彼のような若い経営者とご一緒する機会も増え、その度に普段は忘れている自分の年齢を強制的に思い出させられています。

 

私たち人間はどんなに気持ちが若くても、肉体的には確実に老いていき、やがて最期を迎えます。年を重ねるごとに経験値が上がり、その分失敗する確率は下がるものの、何となく守りの体制になってしまったり挑戦することへの恐怖まで感じてしまったりします。これはある程度致し方のないことで、実は会社も同じです。

 

しかし、「老いる」ことがあらかじめわかっているのであれば、それに対して手を打っていけば良いわけで、今回のコラムは会社のアンチエイジングについて書いてみました。

 

会社の設立から間がない頃はなかなか業績も安定せず、売上や資金繰りに不安を感じる社長も多いと思いますが、多くの会社は年数の経過と共に事業が安定してきて、組織内の役割分担が進み、品質や社員も安定してきます。その反面、社内のルールが増えたり、各々の個性が失われたり、「みんなと同じ」を好む、「新たなものや違うもの」を受け入れにくい、そんな体質になっていってしまうのです。私たち人間のそれとそっくりですね。やがて硬直化が進んだ組織は考えることをやめ、挑戦することを諦め、世間から少しずつ取り残されいく…といった感じでしょうか。

 

しかし、社内の風通しを良くして新たな考えややり方を取り入れていくことで老化を遅らせる=若返りをすることはどこの会社にもできます。これまでと異なる事業やサービスを導入し、新たな市場を開拓して更に成長することももちろん可能です。そこにお客様や社員がいれば、やはり「長く」「安定して」続けていくことが望まれ、そのためには成長し変化し続ける力が必要とされるのです。社内の新陳代謝(世代交代)を常に意識することが重要なのです。

 

このことは多くの社長が理解されているにも関わらずなかなか進まない理由の一つに、「若手人材の確保がうまくいっていない」ことが考えられます。

 

今の技術や商品をレベルアップしていくにも、新たなサービスを始めるにも、当然そこには人材が必要となります。新たな人材を積極的に採用し、育てて、組織を回してくれるリーダーに成長してもらうことが大事です。

 

この、若手人材の確保がうまくいっていない会社…私の知っている会社にも多いのですが、共通するある特徴があります。それは、人材採用とか人材育成の優先順位が低いことです。目の前の仕事をこなすこと(売上をつくること)が優先されてしまい、採用に関しては、

 

「地元の学校を訪問したり会社説明会をしたりするのは大事だとわかっているけれど、対応できる従業員がいないから…」

 

「社内の教育環境は若手が入ってから考えれば良いか…」

 

など、後手後手になってしまっているのです。

 

どこも人手不足で目の前にある仕事で精一杯…という状況もあるかもしれませんが、人材採用に関して積極的に手を打っていかなければ人が集まらないのは当たり前といえます。以前のように求人票を出してさえいえれば人が集まっていた時代とは違うのですから。

 

先日も、自社の技術の素晴らしさや社長の想いを若者に伝えるためにマンガ冊子を作成したいという社長と一緒に打合せに行って来ました。この会社の技術は業界でも珍しいというか、かなりレベルが高いそうなのですが、それを経験の無い若者にどう伝えれば良いのか?を長年模索されていたそうです。きっかけは私の自己紹介マンガをご覧になったことで、「マンガなら学生さんも読んでくれるかもしれませんね」というところからスタートしました。以前、鉄道関係の会社がマンガを使って採用に大成功した事例もありましたのでそれも背中を押してくれたようです。キツいとか汚いなど3Kと呼ばれる仕事は特に若者から人気が無く、採用には苦労していらっしゃるようですが、その仕事のやりがいとか会社の魅力など、お給料面以外の素晴らしさを伝えていく努力は今後不可欠と言えるでしょう。

 

若者は経験値やスキルは未熟かもしれませんが、その分、吸収するスピードが速く、感性も豊かです。また、特定の刷り込みが無く柔軟なアイディアや考えを持っています。会社の若返りは彼らの力無しには実現できないのです。今の若者が何を考え、何を必要としているのか、どこを目指したいのか…彼らの目線で考えると同時に、彼らに会社の魅力をしっかりと伝えていくことを最優先にしていかれてはいかがでしょう。

 

社長、会社の若返りは戦略的に仕掛けていかないと手遅れになりますよ。

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