応援コラム

第288話 営業活動における価値低下の影響を考える

 

「訪問数が足りないんじゃないのか?1日最低30件は訪問しないと新規なんて取れないだろう。資格の勉強なんてしてるヒマがあったら、ティッシュとか飴ちゃんとか持って歩いて来たらどうだ?これじゃ給料泥棒だよ、まったく…」

 

先日、久しぶりに生保レディ時代の同僚と再会して食事をしていた時のこと。当時の上司の話や、毎日の営業が辛かったよね…という思い出話で随分と盛り上がりました。来る日も来る日もやる事と言えば外回りの新規開拓。事務所に帰って上司に提出する日報には、訪問件数、テレアポ件数、見積り提案件数、契約数…などの数字と、具体的な提案先名などを書くのですが、ここの数字が少ない!といつも責められていたことを思い出しました。順調に契約が上がっている時は上司の態度も甘いのですが、全く上がっていない時などは、この日報を出す瞬間が最悪に苦痛な時間だったのです。

 

営業は数字の世界…目標達成のためには数字から目をそらすことは許されませんが、当時の営業と言えば数を増やすことばかりに囚われていて、その中身(質)を向上させることが後回しになっていたような気がします。今思えば、数十人という生保レディをまとめていた当時のマネージャーは、一人一人の個性を活かしたやり方を考えることよりも、全員同じ数字を毎日提出させることで現状を把握しようとしていたのだと思います。決まった数字を追いかけることは重要ですが、何の数字を、どう改善させるか?を考えるのが上司の仕事…と言えるかもしれません。今週のコラムは、それぞれの数字が売上をつくり出す時の数式を基に、会社の価値低下がもたらすものについて考えてみました。

 

一般的に、売上は値段×数量といわれていますが、営業活動で考えた場合にはこのような数式になります。

 

 

売上を上げたい…と考えた場合、それぞれの数(アプローチ、確率、価格)を引き上げていく必要があります。保険営業時代には、「確率は100分の10分の1だ」なんて言われていて、100件アプローチすると、そのうち10件くらいは見積りを出させてくれて、そのうち1件は契約になるだろうという感覚で歩いていました。これがベテランになるほどその確率は3件、5件と上がっていくのですが、最初はそんなものだったと思います。営業マンとしてのスキルが上がれば、その分顧客に提供できる付加価値も高くなり、確率も上がっていくのです。付加価値が提供できない新人営業マンの営業をマネジメントしようとする時、価格(保険料)は決まっている(=勝手に値引きができない)ので、あとは量を増やすしかないという考え方もあながち間違ってはいないということになります。

 

会社レベルでも考え方は同じで、量を増やすのであれば営業マンや対象顧客を増やしたり、アプローチ方法を増やしたり…ということになりますし、契約確率を上げたいのであれば、社員の教育やサービスの充実が必要になります。同時に、なるべく値引きをしないで(できれば定価を引き上げて)販売できる体制をつくる必要があります。

 

次に、会社や営業マンの価値が感じられない(価値はあってもうまく伝わっていない等の)場合にこの数式がどのような影響を受けるのか?考えてみました。

 

 

一生懸命アプローチをしても、「あなた(の会社)であることの意味」が伝わらなければ「他の会社でもいいや」と思われてしまって、結果、確率も下がってしまいます。それでも何とか売上が欲しい営業マンは、無理な値引きをしてでも契約をもらおうとしてしまいます。この、差別化ができていない・歩留まりが悪い状態、更に値引きをした状態で売上を確保しようとすれば、自ずと量を増やすしかないということになりますが、ここに大きな落とし穴があります。

 

営業量を増やそうとした時、あなたの会社ならどのような手を打ちますか?

 

例えば営業マンを増やすとか、対象顧客を増やす、新たな営業手法を導入する…といったところでしょうか。いずれにしても、新たな費用が発生する可能性が大きいので、その分、売上は上がっても利益を下げてしまうことになります。しかし、闇雲に数だけ増やしてもダメだということを頭ではわかっていても多くの会社がやってしまう理由は、

 

「手っ取り早いから」

 

です。

営業マンを採用する、広告を出す、エリアを広げる、Webサイトを立ち上げる…など、プラスα何かを増やすということは誰でも思い付くし、お金を掛ければある程度の成果も見込めるし、何より早く成果が出るような気がするのです。

 

しかし、数を増やしたり値引きをしたりする方法で売上をつくることを続けていると、少しずつ会社の体力が失われていきます。本来、社長が望む収益構造とは、きちんと自社の価値が伝わって、「ぜひあなたの会社で!」と言ってもらい、無用な値引きをしない販売方法で適正な利益が残るものであるはずです。

 

 

歩留まりが良く値引きをしない営業活動は、社内に利益をもたらし、次の一手の資源になるのです。

 

さて。

あなたの会社の営業活動はいかがですか?

価値を活かした営業活動は行われていますか?

どの数字をどう改善させるのか?一度立ちどまって考えてみてはいかでしょう。

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