応援コラム

第296話 相乗効果の実現に必要なこと ~一たす一を二以上にするために~

 

「ヒット商品のライフサイクルがどんどん短くなってきている…そんな風に言われています。中小企業研究所の調査を見ると、3年未満に陳腐化するヒット商品は約75%という結果も出ています。その理由として、情報技術の発達でヒット商品はマネされやすくなったり、消費者のニーズも頻繁に変化したりする事などが挙げられているので、今後の企業の生き残り策として、業務提携やM&Aなどによって業務の効率化や効果を狙っていく必要があります。」

 

…先日、あるセミナーでこのような話を聞く機会がありました。確かに、私も一消費者として考えると、昔に比べて商品に飽きてしまうまでの時間はどんどん短くなっているように感じます。企業としては、一度にたくさんつくって長い間販売できればコストも安く済むし、売上も安定する。次の商品開発までの時間に余裕があり、開発費用も掛けることができた…そんな時代と違って、次々に新たな商品を生み出していかなければならない、その分のコストが大きな負担になる、そして少量ずつ多品種の商品をつくるとなれば自ずと利益も下がってしまう…だから効率化をするための施策(例えば業務提携やM&A)を何か考えていかなければならないですよ、という内容です。

 

 

■だからどうすればいいのか…

 

確かにおっしゃる通りなのですが、肝心な業務提携やM&Aがうまくいくためのヒントについては何も触れられていませんでしたので、煽るだけ煽ってあとは知らん顔かい…と心の中でツッコミながら(笑)ちょっと消化不良な感覚を持ったので、今週のコラムでは私なりに考えてお送りしたいと思います。もちろん私はM&Aの専門家でも何でもありませんので、その手法についてではなく、会社と会社が融合する、もっと言えば、人と人が協力し合って、「一たす一が二以上の結果を生み出す」ために必要な要素について考えてみたいと思います。今後は、規模の大小や業種・業態に関わらず、会社同士・人同士が協力をしてシナジーを生み出していくことがとても必要だと感じているからです。何と言っても日本は確実に人口が減って行く(マーケットが縮小していく)ことが決まっていて、しかも、超高齢化が益々進んでいき、4人に1人が75歳…という時代もそう遠くはなさそうだからです。

 

 

■一たす一が二以上になるとは?

 

一たす一が二以上の結果を生み出すとは、いわゆるお互いが相乗効果を生んでいる状態と言えます。例えば、それぞれの会社が商品の生産やサービスの提供のために掛けていた原価や経費を共通化し、全体のコストを下げることで利益を上げたり、会社同士が協力する事で、顧客を紹介し合ったり社員を共有したりすることができ、営業力の強化が可能になります。また、それぞれが持つノウハウやサービスを組み合わせることによって新たな商品やサービスを生み出すことも可能なのです。

 

弊社も、必要に応じて業務提携…という形をとっていますが、うちのように資源が限られている会社だからこそのメリットはたくさんあると考えています。例えば、海外のビジネスなどは市場調査から人材の確保、顧客の開拓までを一から自社で全て行なうことはなかなかハードルが高いですが、既に実績があり、ノウハウもしっかりしている会社と業務提携をすることで、短期間でリスクも小さく始めることができます。もちろん、こちら側の顧客やノウハウなど、先方もメリットを感じてくれなければ実現しないことですが、だからと言って決して難しいものではないと思っています。

 

また、営業力を強化していく中で必要となる営業ツールの作成やメディア・マンガなどを使ったブランディング施策なども同様で、専門の会社と一緒に行っていくことでより高付加価値なサービスを提供できるし、そのことにより顧客が得られるメリットは大きくなり、結果、自社に対する満足度も高くなっているのではないかと考えています。

 

 

■一たす一が二以下になることもある…

 

会社同士が協力する場合、プラスの効果を生み出す時もありますが、もちろんマイナスの効果を生み出す時もあります。例えば、「A社と提携をしたことで、そこの一部分の事業と競合関係にあるB社と取引きがしにくくなった」というような場合です。実際に、それまでは良い関係だった会社と付き合いが遠のいてしまった…という社長の話を聞いたことがあります。こちらは気にしていなくても、思った以上に相手が反応する場合もあり、やってみないとわからないケースも少なくありません。

 

また、互いの金銭的(売上)メリットを優先して協力体制をとってはみたものの、社長同士の考え方が合わずマイナスの結果を生んでしまうということもあります。トップの考え方が合わないと、当然、仕事のやり方や顧客への対応が違ってきますし、忙しい社員が何を優先すべきか?といった仕事の優先順位も違ってきたりします。以前、一緒になることで収入手数料が増えるというメリットに惹かれて合併する保険代理店が急激に増えた時期がありましたが、元々の社長の考え方が違えば、当然客層も大きく違ってきます。結果、顧客への対応を統一することができず、社内もうまくまとまらず、結局また別々に活動することにした…という代理店も多く見かけました。

 

■相乗効果を発揮するための共通の条件

 

それでは、一たす一が二以上になる…相乗効果を実現する…ために必要な条件とは何でしょうか。次の3つをあげてみました。

 

  • 共通の利益

これは会社同士が協力し合う時の基本とも言えますが、お互いに共通の利益があれば効果的に協力し合い、お互いの技術やノウハウを活用しながら、共通の目標達成に向けて取り組むことができます。ただ、先ほどのマイナス効果の事例のように、金銭的なメリットだけのつながりはなかなか難しいケースも多いと言えます。

 

  • 共通の価値観

人は、信頼性や誠実さ、大切にすべきものなどの価値観を共有することで、長く協力関係を築くことができます。このような価値観の共有は、組織においても同様で、会社同士が相乗効果を発揮するためには、価値観の共有は不可欠です。日頃から社長の考え、会社のスタンス、理想の顧客像など、会社にとって大切なことを「言語化」しておいてはいかがでしょう。

 

  • 互いを補完するもの

お互いを補完する能力や製品は、どちらか一方が単独では達成できない収益を実現することができます。また、自社に欠けている部分を補うパートナーと一緒になることで、逆境を乗り越え、最終的な目標に向かって集中して取り組むことができるようになります。本当に大切なパートナーとは、問題(トラブル)が起きた時こそ力になってくれる相手なのです。

 

今後、M&Aまでは考えていないという会社も、何かしらの場面でどこかの会社と協力関係になる可能性は大きいと思います。その時に、あなたの会社にとって本当に理想的なパートナーに出会えるためにも、日頃から社長の考えや会社のスタンスは明確にし、魅力的な会社づくりを心掛けられることをおすすめします。そして、会社同士、人同士、理想の相手に出会うまでの条件提示やプロセスも重要ですが、本当に大切なのは出会ってからの互いの努力です。未来は一緒につくるもの…どこまで真剣にそう思えるかが鍵なのではないでしょうか。

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