応援コラム

経営の断捨離 ~捨てるもの、残すもの~

 

この時期、親しい方や家族との忘年会など、一年間を振り返る機会が多くなりますね。また、来年に向けた新たな取り組みや新しい仲間とのワクワクする時間も増えたりしますが、新年を迎える前のこの時期だからこそ、個人としても、そして経営者としても考えておかなければならない大事なことがあります。

 

それは、「何を捨て、何を残すか?」です。

 

何か新しいことを取り入れよう、新たなことに取り組もうと考える時、とかく我々の思考は“インプット”に偏重しがちですが、この世の中で誰もが平等に持っているもの…「時間」をどのように調整するか(どこに重点を置くか)が、次の取り組みの成果を決めるといっても過言ではないでしょう。

 

特に、新年を迎えるタイミングには、誰もが張り切って「頑張る目標」とか「新たな施策」を掲げがちですが、私たちはその限られた資源でどう行動するかを考えなければならず、そのためには自ずと何かを削ることで、時間や費用・労力を捻出しなければなりません。

 

そんな私のこの一年は、正に“捨てる”、“決別する”一年だったように思います。長年関わって来た仕事や、長い間の人間関係、住む環境、持ち物の多くを手放した一年だったのです。

 

振り返ってみれば、「手放して良かった」と思えるものばかりなのですが、これまでそれができなかったのは、その勇気が無かったから?…勿論それもありますが、何事にもタイミングはあるもので、早ければ良いというものでも無さそうです。新たなものに出会っても、それを受け入れる準備が出来ていない時であれば、やはりうまくいかないからです。そこで今回のコラムは、経営者が考えるべき「断捨離」について書いてみたいと思います。

 

最近は「ミニマリスト」という言葉もよく耳にしますが、私のように、既に持っている物を捨てたり、物から離れたりする「断捨離」とは若干異なり、そもそも自分が不要だと思う物は持たないという「価値観」がその基本となっているそうです。ミニマリストと聞くと、「とにかくモノを持たない人」というイメージがありますが、決してそうではなく、自分なりの基準を持って、そもそも持たないようにする人…なのだそうですよ。気がつくと、“モノ”はいつの間にか増えてしまうので、私も、身の回りがスッキリしている今だからこそこの価値観は大切にしたいと思っています。

 

そんな、自分の身近にある“モノ”を手放す『断捨離』には、さまざまな効果があると言われています。中でも特に大きな効果は「自分の価値観を見つめ直せる」ことです。

 

何かを手放そうと思う時に頭によぎるのは、

 

「これが無くなると困るかも…」

「二度と手に入らなくなるかも…」

「いつか必要になる時が来るかも…」

 

という思いです。

 

私も、押し入れや机の引き出しを開けてみると、「いつか、いつか…」と思いながら何となく持っているものが大切な生活空間を大きく占拠してしまっている…そんな状態でした。仕事も同じくです。

 

この仕事をやめたら収入が下がる、この関係を壊したら将来が不安、これを捨てたらいつか必要になった時にまた買わなければならない…という不安感から大事に持ち続ける、ということをしてしまっていたのかもしれません。

 

しかし、断捨離を決意することによって、自分にとって本当に価値のある物とそうでない物の仕分けができるのです。

 

会社にとって本当に価値のある物とは…

 

安定した仕事?

大きな売上を占めるお客様?

実績を出す営業マン?

他社が持っていない設備や技術?

…色々ありますよね。

 

何年も掛けて築き上げた現在の会社。これまでの長いお付き合いや、やり方・考え方は大切な会社の資産であると同時に、それを守ろうとする思考は無意識に変化を拒む(新しいものへの拒否感)につながります。改善や修正を何度も何度も重ね、非常に効率的になった今のやり方や関係性を壊し、また一から新たなもの(コト)に挑戦するのはとても勇気とパワーが必要だからです。

 

ただ、この振り返りや判断を現場に任せておくと、決して「捨てる」「壊す」という発想は出てきません。社員は、今のやり方を継続する方が楽だし、お客様も同じ。変わることはとてもストレスになるのです。

 

だからこそ、社内で断捨離を決断できるのは社長しかおらず、そのための定期的な振り返りと、次の一歩に向けた未来構想を描くことを意識的にやっていかなければならないのです。通常、多くの会社はこれを「事業計画作成」という形で毎年やっていると思いますが、大企業でもない限り、ほとんどの会社は社長の考えを中心に作成し、幹部や社員が行動計画に落とす…というやり方でやられているのではないでしょうか?無意識のうちに、昨年の積み上げで考え、やることばかりを増やし、あとは現場が気力とやる気で頑張る…ということを繰り返してはいないでしょうか?

 

大きな目標、大きなビジョン、たくさんの行動計画がびっしりと書かれた事業計画を見て、何となく満足してしまう…そんなスパイラルに陥っていないでしょうか。

 

個人の生活では、断捨離を意識した生活ができるようになると本当に自分に必要な物だけを選定し購入するようになるので無駄遣いを抑えることができます。さらに、自分が管理できる範囲の物だけを身の回りに置いて生活するため探し物が減り、時間と心に余裕が持てるようになります。

 

経営者が事業の断捨離をすることは、今ある社内資産(社員・技術・設備・お金・実績・アイディアなど)を、より有効に活用することにつながり、「頑張る経営」から抜け出すことにつながります。

 

経営者の皆様。

今年もあと半月。

今年の振り返りは今年のうちに…捨てるべきものの判断基準も今年のうちに明確にし、新たな年の新たな取り組みを受け入れるスキマをつくってみませんか?

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