応援コラム

赤字続きの百貨店経営から、コロナ後の生き残り策を考える

 

この4連休は、各地、久しぶりに多くの人出で賑わったようですね。コロナの感染拡大防止も重要ですが、人が動かないということは経済活動の停止につながり、その結果、多くの失業者を生んだり倒産という事態を招いたりしていることも事実です。企業は、その厳しい状況下でいかに生き残るかを必死に考えているわけですが、一方で、今回の騒動は元々企業が持っていた、いわゆる「基礎疾患」が露呈したという風にも言われています。

 

都内駅近の賃料が高いビルにオフィスを構える会社にぎゅうぎゅうの満員電車に揺られて1時間近くかけて通勤し、長い朝礼、結論の出ない会議に時間を取られ、見込みの有る無しに関わらず「まずは飛び込み訪問」という昔からの営業スタイルで行なわれる新規開拓など、効率の悪いやり方が脈々と続く「日本式」のビジネススタイル。しかし、緊急事態宣言で多くの企業が在宅ワークを導入し、今回無理矢理やってみたけれど、思った以上に業務に支障はなかった…むしろこっちの方が良いかも?と感じた方も多いと思います。

 

地方都市では、基本、車移動が多く、満員電車の苦痛はありませんが、移動時間に関する悩みや、限られた人数で仕事をこなさなければならないという点では都会も地方もなく、効率化しなければならないという課題は共通と言えるでしょう。旧態依然の形式(長年続いた意味が分からない習慣)に囚われず、常に日常に疑問を持ち、本当に大切なことに時間と資源を使う効率的な経営を真剣に考えなければならないことにようやく目覚めたと言えるかもしれません。

 

これは、最近ニュースでもよく耳にする赤字続きの百貨店にも同じことが言えます。この8月末に閉店した「そごう徳島店」がある徳島県。私の地元島根県にも共通する部分が多く、決して他人事ではありませんので、その課題について考えてみました。

 

百貨店といえば、駅前などの一等地に大型店舗を構え、富裕層や高級志向の顧客向けに高付加価値商品を販売するビジネスモデルです。私たちが子どもの頃は、近所のスーパーに行く時は普段着で、でも百貨店に行く時は「よそ行きの服を着るのよ」と親から言われた記憶があります。それだけ特別な場所だったのでしょう。

 

そんな百貨店ですが、当時と比較すると、「良いものが欲しい」と思う顧客の層や動向が大きく変化し、行動範囲や移動手段も多様化したために、まず、駅前でないといけない理由が無くなりました。今回閉店になったそごう徳島店も正にその典型だったのでしょう。そごう徳島店の閉店が発表された昨年1112月に同市が行なったアンケート結果によると、「今後、駅前にどんな施設があればいいと思いますか」という設問で最も多かった回答が、「百貨店・デパート」の26.2%だったそうです。次いで、「百貨店・デパート以外の商業施設」が14.1%。一方で、徳島駅前に来る頻度は「月1回程度」の29.8%が最多で、決して高い数字とは言えず、駅前に百貨店があると良いと言いながら実は足を運ばない人が多いという結果が出たようです。一等地に建ってはいるけれど、その資産価値に見合った収益は出せていないということでしょう。また、通販化への対応の遅さも収益悪化の一因だと思います。

 

同時に、早急に手を打つべきは、百貨店の商品を一部だけ購入している層の取り込みがうまくできていないところだと思っています。私自身も、大切な方への贈り物を選ぶ時や、良い服が欲しい時は百貨店に行きます。しかし、全てのものを百貨店で買うか?と聞かれたら答えはNOです。もちろん経済的な理由も大きいですが、一番の問題は店員の接客です。

 

ショッピングセンターやスーパーと比較して、はるかに値段の高いものを販売しているにも関わらず、その「接客」という大切な営業活動が適切に行われていないと感じています。商品の生地や値段くらいしか伝えられない店員や、組み合わせや着こなしの提案もしてくれない店員、そもそもどのような場面で着たい服なのかも聞いて来ない店員などです。

 

この店員さんは、

 

本当に自分が販売している商品のことを愛しているのだろうか?

私がこのブランドが好きな理由について興味があるのだろうか?

この服を買った私が輝いている様子が想像できているだろうか?

 

と疑問に思うからです。

 

お客様は、その商品だけを購入しに来るわけではありません。商品そのものであればネット通販の方が安くて早く購入できます。しかし、わざわざ足を運んで来てくださるお客様は、それ以外の「付加価値」に期待してやって来ます。

 

それは、お店の雰囲気やレイアウト、品揃えもあるでしょうし、ネットではできない「試着ができるから」という理由もあるでしょう。それに加えて、店員の商品知識や組み合わせ・着こなしに関する知識や情報、以前その店で購入したアイテムとの合わせ方などの提案、何より、自分が最高に輝くための重要なアドバイザーという役割が期待されています。これは正に営業活動以外のなにものでもありません。高額な商品を販売する営業マンには、高いコミュニケーション能力と専門知識が求められるのです。

 

私が法人向けの保険商品を販売していた頃、常に大事にしていたことは、

①お客様に興味を持つこと

②お客様の話をしっかり聴くこと

③お客様の課題を解決する最適な手段を一緒に考え、提案すること

です。百貨店の接客にもそのまま活かせる手法です。

 

経営環境が益々厳しくなる百貨店業界。ブランドや売場の見直し、不動産賃貸への転換などもっともらしい経営戦略も大事ですが、まずは足元の社員の接客スキルの向上から取り組んでみてはいかがでしょうか。そのようなプロの接客を待っているお客様はきっと大勢いらっしゃると思います。少なくとも私もその一人です。

 

人は、

「何を買うか?よりも、誰から買うか?」

「モノの良し悪しよりも、人の好き嫌いで購入する」

と言われます。

 

業種・業態に関わらず、お客様のニーズをくみ取り、それに合った商品・サービスの提供をし、お客様から好かれる会社づくりを考えていくことこそが、新しい価値を生み、未来に生き残る最良の手段です。

 

経済環境の変化を言い訳にせず、チャンスに変える方法をぜひ一緒に考えていきましょう!

 

 

 

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