応援コラム

部下の心を開く社長のメモ術

 

「私の話は初めて聞かれるのに、どうしてスラスラと何かを見て書くようにイメージが形になるのですか?」

 

先月から一緒にストーリーブックを作成している社長にそんな風に聞かれました。これは、コンサルティングをしている時や個別相談をしている時、もっと遡って営業マン時代にもよく言われた言葉です。

 

社長が話される言葉を書き留めながら、時系列にまとめたり、物事の関係性を図で表したり色をつけたりする様子が何とも不思議に映るようです。

 

パソコンではなく「手で書く」ことは、とても自由度があります。上へ下へ、右へ左へ、自由自在に書くことができ、思考の枠にとらわれないという素晴らしいメリットがあり、加えて頭の中が整理されるという効果もあります。毎日多くのことが頭の中を駆け巡る社長が、ご自身の考えを整理したり、将来の事業構想を考えたり、また、部下との面談の時にも大いに活用できますので、今週のコラムは「社長のためのメモ活用術」について書いてみました。

 

私がとにかく手書きでノートを取るようになったのは今から約20年前。

数々の資格試験対策は全てノートに手書きをして勉強しましたし、営業の現場ではお客様からヒアリングをしたことを全て目の前で書き留めました。今も、コンサル先のクライアントごとに色分けしたノートを使って書き込んでいます。

 

この、手書きの良さと言えば、何と言っても自由なことです。同じ言葉でも、感じたままにひらがなやカタカナで表現できるし、言葉で表せないことは丸や四角などの図や、ハートやバッテンといったイラストで表すことができます。また、それぞれの関係性を矢印や色付けで表現できたりするところにあります。第一に、やっている自分がとても楽しい!ということが言えます。

 

ぼんやりと頭の中にあること(悩みや課題、将来の夢など)を書き出して、それを整理してみると、それまで大変そうに感じていたことも何となくできそうな気持ちになるし、やり方に悩んでいたことも解決の糸口が見えたりします。

 

よく、会議や商談の場にパソコンを持ち寄って、各々が打ち込んでいる姿を目にしますが、あれは、既に決定していることを伝達する時や、テーマが明確で、その解決策について話し合う時などには良いかもしれませんが、テーマが大きすぎてぼんやりしている段階や、相手の話をしっかりとヒアリングする必要がある場面では逆効果です。無意識のうちに文字になる(打ち込める)ことの範囲内で考えようとしてしまうし、必然的に過去の経験や自分が知っていることの範囲の中で解決策を探そうとしてしまって、答えがいつも同じになってしまう…という可能性があるからです。

 

数年前、ある方の紹介で素晴らしいホームページを作成してくれると噂の会社に行き、自社の希望や課題感を話していた時、社長を始め、横にいた2名のスタッフが全員パソコンに向かって何やら打ち込んでいた…という経験があります。その場は特に会話が盛り上がるワケでもなく、後日、「ヒアリングに基づいた提案書」がメールで届きましたが、既存のサイトと何ら変わりがないピントがずれた提案でした。ホームページを作成する技術は素晴らしいのかもしれませんが、私が話したことを汲み取ってくれた感はありませんでした。営業の役割とは、顧客の課題をしっかりと聞いて、その解決策を一緒に考えることだ…多くの営業マンが知っていることだと思ったのですが、この社長の辞書には書いてなかったようです。

 

まあ、それはさておき。

 

ここでは、社長のためのメモの使い方として2つのパターンでご説明したいと思います。

1つは「部下との面談」の時。もう1つは「自分自身の思考を整理する」時です。

 

まずは1つ目の「部下との面談」の時。

作業の指示や業務連絡であればメモを取るのは部下の方ですが、目標を立てる、チームを盛り上げる、昔年の問題を解決する…といった、少し広いテーマで、部下の頭の中が整理されていない場合は、社長がメモを取ってあげるのが有効です。

 

この時に気をつけなければならないのが、「隠して書かない」ことです。ただでさえ社長との面談で緊張しているのに、隠して何かを書き込まれていたら気が気ではありません。「マズいこと言わないようにしなきゃ、良いこと言わなきゃ」と、表面ばかりを取り繕って本音が出て来なくなってしまうからです。メモはできるだけ大きな文字で、相手に見せて、お互いにそれを見ながら話を進めるような雰囲気をつくっていくことが大切です。

 

そして、その面談の中で、部下の口から何度も出てきた言葉や、絞り出すように出てきた感情、言った後に表情が変わった…相手にとっての「キーワード」などには、アンダーラインやマーカーをしてあげることが大事です。何度も出てくる言葉には、無意識にその人が大切にしている価値観が表現されることが多いからです。

 

そして2つめの「自分自身の思考を整理する」時。

 

まずは思いついたことをどんどん書いていくこと。(順番は関係なし)ノートや紙を奇麗に使おうとする几帳面な社長は、書くことが纏まってからにしよう、と思ってしまいがちですが、ここで大切なのはとにかく書くこと!整理してから書くのではなく、書きながら整理するんだという気持ちが大事です。

 

そしてもう一つ。その書いた事柄を見返して、それは「悩み」なのか、「願望」なのか、はたまた「妄想」なのかを分類するという作業をします。同時に、今、解決できることなのか、それとも今は解決できないことなのかを考えることで、自分の中にあるぼんやりとした悩みや願望が、短期的なものなのか?長期的なものなのか?また、解決できることなのか、そもそも解決できない(悩んでも仕方がない)ことなのかを振り分けることができるのです。

 

私は朝のルーティンとして、この作業を毎日続けています。私は、紙の大きさは大きいほど良いと思っているので、わが家にはA3サイズの方眼用紙が何冊も置いてあります。その紙にどんどん書いていくことでぼんやりしていることが段々と形になっていくのです。

毎朝、5分間のストレッチみたいなものです。

 

部下との面談も、自分の思考の整理も、足し算のような正解がない世界です。

 

部下との信頼関係を構築するには、相手の話をしっかりと聴くことから始まりますし、自分の思考の整理はまず言葉にして書き出してみることから始まります。ぜひ皆様も「メモの力」を活用して、ユニークな未来を描いてみませんか?

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