応援コラム

高速で課題解決をするための5ステップ

 

先日、個別相談にお越しになった社長が抱える悩みは「売上」と「社員教育」について。既存顧客からの売上が減少している、新規開拓が思うように進まない、一部のやる気ある社員は頑張ってくれているがそうでない社員が目立って困る…といった内容でした。同じような悩みは本当に多くの企業が抱えていて、一見、業種も規模も関係ない「みんな共通の悩み」に見えるのですが、実は会社ごとに原因も違うし、それを解決するための手段も異なってきます。会社の業績アップをはかるためには、問題点を分解・整理し、価値を生み出す課題解決に取り組む必要があります。

 

例えば、自社商品を販売するために全国に販売代理店を持っているという会社も多いと思いますが、その代理店主の高齢化というのは「みんなに共通する悩み」ですが、実際にそこの売上が下がっている原因や営業のやり方に関する問題は会社ごとに違います。また、やる気のある社員とそうでない社員がいて、やる気の無い社員が目について困る…というのも多くの経営者に共通する「みんなの悩み」ですが、社員の教育をどのように行なっているのか、頑張りが評価される仕組みはあるか、といったことは会社ごとに異なります。

 

「みんなの悩み」にどれだけ向き合ってみてもそこから何か価値が生まれることはなく、疲弊するだけです。時間を割くだけムダなのです。経営者がやるべきは、「価値ある課題解決に取り組む」こと。そのためには、「自社が向き合うべき課題」にまで深く掘り下げ、必ず「答えを出す」という明確な目的を持つことが重要です。答えを出す…当たり前のことのように聞こえるかもしれませんが、実際にできていない会社が多くあります。冒頭のご相談にいらした社長も、売上や社員教育について漠然とした問題意識は持ちつつも具体的な行動に落とし込めていないご様子。一緒にその問題を紐解いて原因を探ることから始めました。

 

問題解決には次の5つのステップがあります。

①本当に解決すべき問題を見極める

②問題点が特定できたらその原因をひもとく

③解決するための仮説を立てる

④具体的な解決策を立て、検証する

⑤文字にして書面にまとめる

 

です。一つずつ見ていきましょう。

 

 

①本当に解決すべき問題を見極める

 

『既存顧客からの売上が減少している、新規開拓が思うように進まない、一部のやる気ある社員は頑張ってくれているがそうでない社員が目立って困る』という漠然とした悩みを整理すると、「売上」と「社員教育」の2つに分類できます。1つ目の「売上」に関しては、既存顧客と新規開拓に分かれますが、この会社の売上規模は10億円。そのほとんどは既存客からのリピート購入が占めているそうなので、まずは顧客の分析を優先テーマとしました。その上で新規開拓はどのエリアのどのような顧客にアプローチしているのか?というターゲットの選定や営業手法と合わせて、商品そのものに競争力があるのかを見る必要もあります。社員教育に関しても、まずは現状どのように行なっているのか(いないのか)を基に分析していく必要があります。経営の現場ではこのような複数の問題を同時並行で解決していかなければならないため、具体性とスピード感が求められます。今回はその中の既存顧客にフォーカスしてみます。

 

 

②問題点が特定できたらその原因をひもとく

 

次に私たちは、既存顧客からのリピート購入の売上が下がってきていることに対する原因を探ってみることにしました。取引先の業績が悪化し購入額が減っているケースや、仕様の変更などで商品そのものを必要としなくなったケースもありましたが、当然そればかりではありません。現在の営業スタイルは担当制で、各営業マンが自分の担当エリアを定期的に訪問して情報提供や情報収集をしながら注文につなげる典型的なルート営業スタイルです。しかし、訪問頻度や提供する情報などは営業マン任せで、その上収集した情報も営業マンで留まっていて、うまく活かせていない状態であることが分かってきました。また、先方の担当者が変わった時や自社の営業マンが退職した時など、商品・サービスに関係の無い「タイミング」が理由で取引が遠のく…といったことも頻繁にあることがわかりました。

 

 

③解決するための仮説を立てる

 

価格や納期など決して大手ほどの競争力が無いこの会社は、自社の営業マンと顧客の担当者の信頼関係を深めることで長く注文につなげて来ていたようですが、属人化してしまうことでかえって不安定な要素になってしまっているのではないか?誰が担当者になっても均一なサービスや情報提供ができる仕組みをつくることでそのリスクを回避できるのではないか?という仮説を立てました。特に近年、自社の営業マンの入れ替わりが増えていたこの会社にとってはそのやり方に切り替えるのが喫緊の課題でした。

 

 

④具体的な解決策を立て、検証する

 

まず、顧客と自社との間の信頼関係を何に基づいて構築するか?の柱を根本的に見直すことから始めよう…という意見が出ました。10年以上付き合いのある顧客でも、商品と担当者のこと以外は意外に知ってもらっていないことが多く、自社が大切にしていることやこだわっていること(理念やミッション)を改めて伝えることにしました。そして、現在購入してもらっている商品以外にも様々な商品・サービスを開発(進化)していることや、他社での導入事例なども伝えて、まずは会社としての信頼を得ることから始めようと。それに伴って、11担当制から複数担当制に切り替え、情報提供も定期的に行なう仕組みをつくろうということを決めました。

 

 

⑤文字にして書面にまとめる

 

この取り組みを、誰が、いつから(いつまで)、どれくらい、どのように行なうのか?を明確にすると共に、今回の場合は会社の信頼関係構築のために顧客に伝わる会社紹介資料も作成することになりました。キレイなカッコ良いものである必要はありませんが、伝わりやすい言葉になっていることがとても重要です。また、情報提供もどのような形で行なうのか?を具体的に決めていく必要があります。

 

 

いかがでしょうか。

これら一連の流れを高速で回転させていくことで、課題解決のスピードが上がり、生産性を向上することが可能になります。大切なポイントは「本当に解決すべき問題を見極めること」と、それを可視化することです。全ての課題解決は「答えを出す」前提で進めなければ意味がありません。

 

御社の課題解決はどのような形で行なっていますか?

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