この時期、来年の事業計画を立てる経営者の方も多いと思います。今年が想像を超える一年だったので、来年こそは挽回を!という期待を込めて例年以上に力が入っているのではないでしょうか。しかし、年初に立てた計画がその通りに進むことは意外と稀です。経営環境も変化していますし、思わぬアクシデントも起こります。今年のコロナ禍なども正にその代表例、全てが計画通りに進むことを望むのはあまり現実的ではありませんね。
だからと言って計画を立てることに決して意味がないわけではありません。
会社には、安定的に経営していくうえで必ず必要になる利益やそのために達成しなければならない売上がありますし、目指している未来の姿もあるでしょう。3年・5年の長期のものからその年単年のものまで、きちんと計画を立てて、進捗を確認しながら進めていくことはとても重要です。
今回のコラムは、「2021年は確実に計画を実行したい!」とお考えの貴方のために大切なポイントを3つお伝えいたします。もう計画倒れにはしたくないと思っていらっしゃる方はぜひ最後までお付き合いください。
■まず1つ目は、
「目標達成までの行動を実現可能なレベルに落とす」
1年間かけて実現しようとする目標ですから、達成した時の姿なんてそう易々と想像できるものでは無い…と思うのはきっと社員だけ。経営者の皆様であれば、この計画さえきちんと実行すれば達成できるであろう未来の姿がありありと目に浮かぶのではないでしょうか?例えば、「売上〇億円達成!」という目標を掲げている会社の場合、社長の頭の中には売上目標を達成した後の表彰式や祝賀会のシーンが浮かんでいるかもしれません。貢献してくれた社員達を労うその会には、やる気に満ちた笑顔が溢れ、次の目標に向けた新たな施策の発表も行なわれているかもしれません。大切なお客様を招待し、未来の構想を語る幹部たち…こんなシーンも想像しているかもしれませんね。
しかし、社員の頭の中はどうでしょう?「売上〇億円か~。昨年もギリギリだったのに、更にそれ以上頑張るのかよ…」もしかするとこのようなセリフを吐いているかもしれません。目の前のノルマに追われていて、1年先どころか1カ月先の姿も想像できていないかもしれません。実際に、ある企業の幹部と面談した時に、「社長が言うことは理想ではあるけれど、どうやったらそれが実現できるのか分からない…」と漏らしていたことがあります。ゴールはわかるけど、そこまでの階段が見えない…ということです。こういう会社の場合、「計画」といっても単なる売上目標の数字だけが並んでいて、具体的な行動計画に落とせていないことが考えられます。いつ、何を、誰が、どうするという行動可能なレベルに落とし込むことが重要です。そしてその階段を一段一段上って行けば、社長が描く姿に近づくんだと確信を持ってイメージしてもらうことが大切です。
■2つ目は「軌道修正をこまめに行なう」
例えば営業マンの場合、毎日営業日報を書いているかもしれませんが、それ以外の社員(製造部や総務など)は日報をつける習慣が無いかもしれません。また、部下との面談が定期的に行なわれている会社とそうでない会社では、把握している現状の鮮度に大きな開きができます。要は、一日一日の行動の振り返りをいつ行うのか?それを拾い上げる仕組みがあるかどうかで修正のタイミングが大きく異なります。間違ったやり方のまま1カ月も放っておけばそれだけ経費と時間のロスになりますし、修正にもまた時間を要します。
ある会社では、1日50件のテレアポで毎月の新規面談数10件を目標にしていたのですが、開始から2カ月が経過しても面談件数が増えていないことでようやく疑問を持ち、中身を検証してみたところ、電話をかける時間帯が悪かったり、スクリプトのできが悪かったりしたためにアポ率が当初の想定よりかなり低くなっていたことがわかった…という出来事がありました。もちろんテレアポは慣れるまでに多少の時間はかかりますが、根本的な問題は早く発見し解決する必要があります。これは一つの事例ですが、営業部以外でも気をつけるべきポイントです。
■最後3つめは、
「余裕を持った計画を立て、達成するまで諦めない!」
計画を立てるときによくあるミスが「全て予定通りにコトが進む(何も邪魔が入らない)前提」で立てていることです。〇時から〇時までこれをやって、□日にはあれを終わらせて、△月にはそれを…とキッチリ予定を立てていても、多くの場合、急な用事やトラブルなど、計画を邪魔する出来事が現れるものです。少し頑張れば取り戻せる範囲であれば良いのですが、遅れは雪だるま式に膨れあがり、あっという間に手に負えなくなってしまいます。
加えて、新規開拓や新商品開発など新しいことに挑戦する場合には最初の準備に思った以上に手間取ってしまうもので、スタートしないうちにモチベーションが下がってしまうということもよくあることです。ただでさえ私たち人間は新しいことを始める時にはできない理由を探す天才?ですから、割と早い段階で「そもそもこの計画自体が無理だったんじゃないか」とか「止めるなら早い方が良い」といった後ろ向きな意見が飛び出してしまうのも事実です。無理な計画を立て、始めたばかりなのにトーンダウンして早々に諦めモードになってしまうことが無いよう、少し余裕を持った計画を立てることが大切です。
特に、仕事ができる人ほど自分や自分たちのグループを過大評価してしまい、無理な計画を立ててしまいがちです。そんな上司が立てた計画の下で思うように進まず立ち消えになっていく会社をこれまでたくさん見てきました。新たな事に挑戦する時には余裕を持った計画を立てる必要があるのです。
私たち中小企業は、どうしても限られた資金や人材で目標を達成しなければならないので、時間的な余裕が無いと思ってしまいがちですが、貴方の会社には自分達では気付かないたくさんの「資産」があります。それは、お客様の声であったり経営者の想いやこだわりであったり、時には社員の持ち味であったりします。それらをうまく活かすことで、新たな販路開拓の実現や新商品のアイディアを生むこともできるのです。
経営者の皆様。
来年の計画をご自身で考える前に、まずは社内を見渡し、顧客の声に耳を傾け、会社の歴史を紐解いてみませんか?そこに未来へのヒントがあるはずです。そのかけがえのない資産が活きる事業計画であれば、きっと社員一人一人の心に届き、実現の可能性を高めてくれるでしょう。確実に計画を実行するためのポイントの一番目は、貴方の魂を込めること…なのかもしれませんね。
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